「プロでも知らないような紳士服業界の細かい描写に驚いた。漫画から教わることも多い」とは国内外の縫製工場の技術指導や生産管理を担う某紳士服モデリストの言葉。その漫画とは『王様の仕立て屋』(大河原遁著、原案協力・監修片瀬平太、集英社)。第1部(全32巻)が03年から連載が始まり、第3部が連載中というロングセラーだ。
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イタリア・ナポリにいる主人公の日本人が仕立て屋として難しい注文に応え、洋服の力で客の人生を幸福にするという内容。そのモデリスト氏も愛読していて、マニアックに盛り上がった。漫画好きの記者も今月の本紙「センケンコミュニティー」欄でファッションの世界を描いた漫画についてコラムを書いた。
今、愛読中なのは若き靴職人の物語「IPPO」(えすとえむ著、集英社)。イタリアで修行した日本人靴職人やイタリアの紳士靴ファクトリーブランドの関係者などにきちんと取材しているため、リアリティーのある表現がストーリーをさらに魅力的に見せている。
ファッションをテーマにした漫画はそんなに多いわけではない。アパレル業界が低迷している反映だろうか。少しでもファッションの魅力を感じてもらうには漫画などエンターテインメントの力も欠かせない。一般消費者はもちろんだが、まず、就活生や新入社員に読んでほしい。