セール後の〝退店適正時期〟以外にも、改装区画があるSCをよく見かける。3~5年の定期借家契約の満了だけでなく、契約期間が残っていても退店を選択するテナントが増えているのだろう。果たして、同じSCに長期間、出店し続けるテナントはどれぐらいあるのだろうか。
ディベロッパーが主体的、積極的にテナントの入れ替えを推進していた時代があった。不振テナントを入れ替えることで、館全体の売り上げ向上と家賃収入の増加が実現できたが、今は違う。販売スタッフ不足やEC重視の流れもあって、店舗数拡大に積極的な企業の話はほとんど聞かれない。
テナント入れ替えで、家賃収入を高める「右肩上がりの施設運営は現実的ではない」と、あるSCの営業担当者。「モノが買える場だけの見え方では館の魅力は低下していく」とも。買い物以外の来店動機を多様に持つことが必要との考えだ。ただ、今後の収益構造とあるべき姿をどう見直すべきかの解は見えていないという。
例えば、定借で10年以上出店しているテナントは恐らく、双方にとって良好なパートナーのはず。なかでも世代を超えて顧客と深いつながりを持っているテナントと、将来のSCの姿を真剣に議論してはどうだろうか。地域に支持されるSCを構築する、意外なヒントが埋もれているかもしれない。