《めてみみ》対岸の火事

2017/10/26 04:00 更新


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 インバウンド(訪日外国人)需要が半減し、特に中国人向けの対応を強化した様々な施設が悲鳴を上げる。インバウンド好調の日本では想像しにくいが、韓国で実際に起こっている出来事。1~8月の訪韓中国人は実に270万人減、前年同期比48%の減少という状況だ。

 韓国を代表する観光地の一つである済州島を訪ねた。政権中央を追われた貴人たちの流罪の地だった歴史的な経過などから、権力には反抗的な土地柄と言われている。大金を落とす観光客に対しても、心の内では様々な思いを持っているのだろうが、さすがに半減となるとダメージは相当大きい。

 さらに大きな問題になりそうなのが最低賃金の引き上げ。現政権は20年までに50%以上の引き上げを表明している。経済界からの反発も強く見通しは不透明だが、いずれにせよ中小企業の負担は大きい。済州島も小売りや飲食は中小企業が多く、先行きを懸念する声が強い。

 韓国経済も大きな曲がり角だと感じながらも、ふと思う。今の日本のインバウンド好調の裏には、韓国行きを取りやめた中国人旅行者の影響も相当あるのだろう。訪韓を止めた中国人のうち、かなりの部分は日本に流れたと考えるのが自然。もし、何らかの要因で訪日客が激減した時のダメージコントロール策はあるのだろうか。まさに対岸の火事ではない。



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