マッサージチェアやリクライニングチェアは満席、4人掛けの机や1人用のカウンターに突っ伏す姿も――いくつか見て回ったSCの従業員休憩室の光景だ。テレビの音声は耳に入ってくるが、話し声はあまり聞こえてこない。
休憩室だから当然なのかもしれないが、静かな空間だった。あるSCによると、休憩室にある自動販売機で断トツの人気はある炭酸栄養ドリンク。いくつかある販売機の一つは、その栄養ドリンク専用販売機だ。「しんどいけれどドリンクを飲んで、もうひと踏ん張りしよう」。そんな販売スタッフの心の叫びが聞こえるようだ。
かすかな記憶だが、かつては同僚や他店のスタッフとも、仕事や趣味の話をする場でもあったはず。それが仕事へのモチベーションにもつながっていたように思う。今、多くのSCが、効率良く休憩できるように1人席を増やしている。販売スタッフの要望も、情報交換より休息が最優先なのだろう。
各地域で接客ロールプレイング大会が開かれている。審査員に聞くと接客レベルは年々向上しているという。一方で気になったのは、他の競技者のロープレの見学者や応援者が減って見えたことだ。人材不足で店を空ける時間が取れないことがうかがえる。ギリギリの体制では、仕事へのモチベーションを保つことは難しいし、ノウハウの伝授も進まない。