ある専門店がスタートした新業態の取材をした時のことだ。国内外のデザイナーブランドとオリジナルで構成するセレクトショップにするという話で、オリジナル商品の価格を、かなり抑えるということだった。
秋冬物のトップやボトムで1万円以下、アウターも2万円以内で売る。同社が運営する既存のセレクト業態と比べると半額から7割程度だ。数万円から10万円超えの商品もある仕入れ商品と比べ、かなり価格差がある。
30~40代の大人向けのセレクトショップだと、オリジナルも仕入れと品質や価値で遜色のないよう素材や仕様のグレードにこだわり、その分、店頭で品揃えに極端な価格差が目立たぬようにすることが多い。一方、この新業態が狙うのは20代だ。
この世代は新品も買うが、着飽きた服をネットで売って、それを元手に新しい服を買うし、他の人が出品した服も買う。ネットで売る際、セレクトのオリジナルはかなり安くしないと買い手が付かず、仕入れブランドは人気のデザイナー物なら、あまり値崩れしないらしい。
つまり価格を抑えるのは、再販価値を考慮しての判断ということになる。ワードローブを自らリサイクルしながら頻繁に入れ替えることが当たり前の世代。彼らにも伝わる価値を、オリジナルで実現できるならそれに越したことはない気もするけれど。