《めてみみ》上野の潜在力

2017/09/26 04:00 更新


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 J・フロントリテイリングは、東京・松坂屋上野店南館跡地に建設している複合商業施設「上野フロンティアタワー」が11月4日に開業すると発表した。地下1階に松坂屋上野店、地上1~6階にパルコ、7~10階にシネマコンプレックス、12~22階にオフィスが入る。

 松坂屋上野店本館と連動して周辺地域を含めた街作りに取り組む考えだ。百貨店の最大の課題は、新規客の獲得と顧客の若返り。主力顧客は60代に達する百貨店がほとんどだ。松坂屋上野店は顧客の45%を65歳以上が占める。これまで新規顧客の開拓を狙った改装を何度も試みたが、成果に至らなかった。

 再開発は当初から単に百貨店を増床するのでなく、街作りの核としての新商業施設を目指した。「パルコやシネコンによる集客、1000人規模の就業者を創出するオフィスなど百貨店だけではできない」(好本達也大丸松坂屋百貨店社長)と強調する。

 上野に訪れる観光客の平均滞在時間は4時間で、台東区全体に比べて1時間長い。しかし、日本橋や銀座への顧客流出が著しかった。「日本を代表する動物園や博物館、美術館など文教エリアを抱える上野のポテンシャルは大きい。商業エリアとの回遊性を高める拠点にしたい」(好本社長)と街に新しい価値と魅力を加える。新タワーだけで年間600万人の集客を見込む。



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