《めてみみ》韓国の繊維事情

2017/09/07 04:00 更新


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 韓国の4~6月の実質GDP(国内総生産)成長率(速報値)は前期比0・6%と低い水準だった。韓国政府は7月末、今年の実質成長率見通しを3・0%に上方修正したが、景気回復の足取りは重い。

 先日、大阪で開かれた韓国ファッション製品展示会の出展社に聞くと、「韓国市場は引き続き厳しい」との見方で一致していた。「だからこそ日本など世界への輸出が大事」と、若手デザイナーを含め30社以上が参加していた。

 文在寅政権は来年、最低賃金を16・4%引き上げる。時給換算で7530ウォン(約722円)となり、20年までに1万ウォンにする公約を掲げる。韓国の綿紡績大手が生産設備の一部をベトナムに移す計画を出すなど、すでに対応策が動き出した。東レグループのTAK、TCKは「最低賃金だけでなく新政権の労働政策が実施されると労務コストの上昇は避けられない」とし、工場の一層の省力化や無人化などを進め、影響を最小限に抑えるという。

 「大手企業は打つ手がまだあるが、中小企業は韓国で踏ん張るしかない」。韓国展の出展社は嘆きながらも、品質や加工、リードタイムの短さなど強みを打ち出していた。

 気になるのは生産移転による韓国繊維産業のさらなる空洞化と人員のリストラ。最賃アップが、韓国繊維産業の縮小に拍車をかけなければ良いのだが。



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