ライブハウス、渋谷クラブクアトロで、観客全員に宇都宮餃子を提供するというユニークな音楽フェスが先週、開かれた。
出演者は宇都宮市出身者を中心に、全て栃木県に縁のあるアーティスト。宇都宮の麦を使った地ビールも販売した。
宇都宮パルコが3月の開業20周年を機に開始した記念販促の一環。商業施設の周年記念販促は感謝セールなどを想起しがちだが、同館はそれだけでなく、「宇都宮の魅力全体を発信する」(伊藤智人店長)ことを重視した。行政や地元商店会などと連携して、宇都宮の観光資源をPRするイベントを実施している。
同館がある市中心市街地の商環境は周辺の郊外SCや大宮、東京都内の大型施設との競合の影響で厳しい。周年企画で地元のPRを前面に出しているのは「エリア全体が活気付かなければ、地域密着の商業施設は生き残れない」という危機感からだ。
20年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、首都圏の大都市で大型開発が相次ぐ。大都市は新たなにぎわいが出るだろう。ただし、大都市と地方都市の格差のこれ以上の広がりは、日本経済、ファッションビジネス業界の発展のためにも防がなければならない。最近は地方の魅力を発信する取り組みが都内の商業施設で増え、地方の行政も一段と力を入れるようになった。この流れに期待したい。