《24年春夏メンズトレンド⑥》シアーアイテム　身体のラインを強調

　24年春夏メンズトレンドとして、透け感のある素材を生かしたアイテムが広がった。素肌をさらすトップやクロシェのようなアウターまで、様々なシアーアイテムが登場している。その背景には、新しい男性らしさを模索する動き、ジェンダー（性差）の境界があいまいになったことがある。

（小笠原拓郎、写真＝エルメスは大原広和）

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　ここ数シーズンのファッショントレンドとして、体への意識を強調したスタイルは常にあった。ボディーを主役にしたスタイルは主にウィメンズのトレンドとして出ていたが、春夏はメンズでもその流れが広がっている。ジェンダーを巡る表現があいまいになっていることもあり、ウィメンズトレンドとよく似た表現も多い。なかでも透ける素材を生かしたアイテムが増えている。

　透け感とともに風に揺れるほど柔らかな風合いのトップで、体の線を見せるスタイルが出ている。それは、ヌードを意識させる表現。透けるオーガンディやレース越しに造形的な体のラインを浮かび上がらせる。

　「ドリス・ヴァン・ノッテン」は今日の男らしさや現代のマスキュリニティーの新たな提案というのがコレクションのキーワードだ。細くて長いシルエットを強調しつつ、極薄のモスリンと透けるテクニカル・ファブリックで、風に揺れて体から浮かび上がるラインを描いた。

　「ドルチェ＆ガッバーナ」は、ブランドのアイデンティティーともいえるスタイルを見直すコレクション。構築的なテーラーリングとともに、まるで彫像の造形のようなドレープのTシャツや柔らかな透け感のレースのフルイドトップを見せた。