21年春夏メンズインポートは、重衣料の売れ筋が在宅勤務の増加により大きく変わりそうだ。イタリアのファクトリーブランドのスーツやジャケットは、テーラーリングの技術に裏打ちされたビジネスシーンで映える仕立てが一番のウリだった。しかし、出勤して外で人と会うことが減ったことにより、クラシックなスーツはさらに売れなくなっている。このため、芯地や副資材をこれまでになく省いて、Tシャツなどカジュアルなトップに合わせても違和感のないアウターに受注が完全にシフトした。
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(柏木均之)
コロナ禍によってビジネスシーンでの着用を前提とした重衣料のニーズは激変した。20年春夏に売れたのはテレワークに向く快適さがあり、画面越しの対面でもカジュアルになりすぎないジャケットや羽織り系アウターだった。21年春夏はこの流れがさらに加速している。
スーツで20万~30万円、ジャケットで15万~20万円と高額なイタリアブランドは、これまでにも肩パッドを薄くして芯地を省略するなど、軽い仕立てを追求してきた。21年春夏は、このドレスコードのカジュアル化への対応が一層強まっている。