東コレこぼれ話~其の一

2016/03/15 02:11 更新


14日にメルセデス・ベンツ・ファッション・ウィークが開幕しました。
このコーナーでは、繊研本紙には掲載しきれないけど、でもこれ面白い!と思った東コレネタを連日アップしていきます。
宜しくお付き合いくださいませ~。


ウィーク初日の14日は、6ブランドのプレゼンテーションと、ウィークのオープニングレセプションなどのイベントがありました。ショーの目玉は、「ミントデザインズ」「ケイタ・マルヤマ」です。両ブランドともとっても素敵だったので、詳細は本紙をご覧くださいませ。

 


さて、ここでは14日に行われたウィークの関連イベント、「SAVE THE ENERGY PROJECT」をご紹介します。

同プロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁が主催し、日本ファッション・ウィーク推進機構が共催する、「ファッション分野で省エネを推進していきましょう!!」という広報活動的なものです。

 

まー平たく言えばお役所発信のイベントなんですが、ファッション分野においてエシカルとかサステイナブルの意識が欠かせなくなりつつあることは、業界の皆さんもここ数年じわじわと感じていらっしゃるんじゃないでしょうか。

私もエシカル関連でこういうブログを書いたりしておりますので、良かったらお読みください。
(※何をもってエシカル、サステイナブルと定義するかが難しいところではありますが)

そういう意味で、非常に今っぽいイベントでした。

 


イベントは、デニムメーカーのカイハラ、デニム加工の豊和の工場で行われている省エネの取り組みを紹介するムービーを見た後に、会場に同プロジェクトのアンバサダーの俳優の井浦新さんが登場します。それで、観客に「ファッションの魅力とは何か」「ファッションに関して伝えたいこと」を尋ねる流れで進行していきました。

カイハラ
デニムの作業着で工場の省エネ政策を語る貝原良治カイハラ代表取締役会長。この映像、気鋭の映像ディレクター、柿本ケンサクさんが手掛けられています。なかなかにお金かかってます・・・!!

 

こうした観客参加型のイベントって、ファッションウィーク関連ではなかなか稀です。
真剣10代しゃべり場(NHKでかつてあった若者の討論番組)のよう、もしくはハーバード白熱教室のよう。




…でもこういう時、日本人ってなかなか手が挙がらないですよね。
かく言う私も挙げてないのですが。すみません。。

 

とは言いつつも、最終的には3人の方が発言されていました(・・・もしかして仕込みもあり?)。
そのうちの一人が、「サルバム」デザイナーの藤田哲平さんでした。
(恐らく、サルバムの16年春夏物でデニムアイテムを多数出されていたので、そのつながりで招待されていらしたのではないかと推察)

sulvam
左が新さんで、右が藤田さん


藤田さんが話された内容に共感する部分が多かったので、以下に記しますね。


「デザイナーって、自分のエゴでやってる仕事です。僕は別に誰かに望まれたからデザイナーになったわけじゃない、自分が作りたいからなりました。

僕自身もまだ未熟で、こんなこと言う立場でもないんだけど、この会場にこれからデザイナーになろうという人がいれば、そこのところを理解していて欲しい。

エゴでなったんだから、僕はデザイナーとしてサルバムを着てくれる人達の生活を背負っている。
デザイナーになりたいって思っている人は、責任を持ってほしい」


細かい表現はちょっと違ったかもしれませんが、大体上に書いたようなことをおっしゃっていまして、真摯な言葉に観客一同胸をうたれました。

私もちょうど昨日ブログで記者の責任的とは?的なことを書いていたこともあり、改めて背筋が伸びる思いが致しました。

 


ちなみに、サルバムは第一期のトーキョー・ファッション・アワードに選ばれたことで、前シーズン、前々シーズンと東コレでショーをしていたブランドです。
メンズ中心ですが、レディスもあり。

 

ロンハーマンやユナイテッドアローズ、米本国のバーニーズニューヨークなどで販売するようになっており、いま注目の若手ブランドの一つです。

今季はショーをしないのが残念ですが、まあ色々お考えがあるんでしょうし、数シーズンのうちにまたショーなり発表を再開されるんじゃないかな、と期待したり。(場所は東京じゃないかもですが)

 


イベントの話に戻します。最後は、新さんが「環境を考えない大量生産のもの作りは時代遅れだと思う。ファッションデザインは、想像力でなんでも作ることができる。だからこそ、エシカル、サステイナブルに配慮したもの作りにどんどん取り組んでいって欲しい」と語って〆。

今回はあくまでプロジェクトのお披露目で、この企画は今後も続いていくようです。次回以降、きっとデニム以外にも話は広がっていくんだと思います。

 

 

話は唐突に変わるんですけど、私最近ファッション×テクノロジー分野のピッチイベントハッカソンを取材する機会があって、テクノロジー系のベンチャーにお勤めの若い方などとお話することが何度かありました。
そういった方たちって、皆さんいい意味で非常にガツガツされています。

その感じと比べると、今日のイベントの会場の雰囲気は、やっぱりちょっと大人しめなのかもな~と感じました。私も貝のようになっていたのでなんともいえないですが。

今回のイベントで口火を切ったのも、ファッション×テクノロジーのスタートアップにお勤めという女性でした。なんかそれも象徴的に感じまして。

ファッションの世界の人ってシャイなのかも〜と、テクノロジーの世界の人との対比から感じましたが、単純にガツガツしてるのが良くて、シャイなのがダメってわけでもないし、どっちもそれぞれの良さがあるので、どちらがどうだとか言いたいわけじゃありません。
ただ、なんとなくそんなこと思いましたよ、ということを備忘として記しておきます。

それでは引き続き東コレパトロール、頑張ります!!

(五十君)



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