万兵の呉服部門は、障害者向けの振袖を販売する。障害者の着付けは仰向けで行うことが多く、着る側の負担となっていた。車椅子や椅子などに座ったままで着付けができるように、仕様や仕立てを工夫した。二部式きものをヒントに、肌襦袢(じゅばん)と振袖は上下に分かれている。
障害の度合いによってAとBの2タイプがあり、Aは上半身の襟付きの半袖襦袢と振袖の上物、下身頃は腰巻きのスカートタイプの組み合わせ。Bは上半身重ね襟付きの上物と長袖襦袢、スカートタイプ。両方とも着崩れしないように「マジックテープ」で固定する。
着付けは10分ほどで完了。お太鼓帯、飾り帯もある。今回は2柄を用意しているが、呉服専門店や写真館、レンタル店などの手持ち在庫を障害者向けの振袖に仕立て直すこともできる。仕立て代は振袖が2万5000円から、肌襦袢は1万5000円、帯1万円。
同社が開いた「21年振袖展」に出展したところ、来場した小売店から「在庫の活性化になり、障害があっても負担感なく振袖を着て成人式で参加できる」と、好意的な声が寄せられたという。
