〝スピリチュアル消費〟という言葉がファッション業界をにぎわすようになり約2年。最強開運日に財布を買い替えたり大きな買い物をする消費者、それを促すブランドも珍しくなくなってきた。自身のリーディングサロン「Shin」で開運カラー(カロット占い)によるパーソナルスタイリングを行いながら、企業との協業実績も多いセラピストのMAIさんに、スピリチュアル消費の現在地を聞いた。
(松本寧音)
自分を知りたい
――ここ1年の状況は。
企業の取り組みは22年くらいが最も目立っていたと思います。〝走り〟だったので、「こういうのも面白いよね」という感覚で、それぞれが取り組みを進めたようでした。そこからかなり浸透し、スピリチュアル消費が当たり前になりつつあります。面白いを通り越して継続する企業をよく目にするようになりました。
20年までは〝土の時代〟で、現実的に物事を見る時代でした。占いを取り入れるのは怪しいという固定概念があったと思います。〝風の時代〟に入り、それがスパッと取れたように感じています。
お客様の変化もありました。コロナ下に来る方は「今までの生活が変わり、仕事がなくなった」「東京で仕事をしたかったが、実家に帰らなければいけない」など、ギリギリの悩みを抱えていることが多かったですね。恋愛や結婚などの相談はほとんどありませんでした。聞いている私も苦しかったのがあの時期です。
今はそれを乗り越えて、「これからどう生きていくか」「自分がやりたかったことをやってみよう」という風に、前に動こうとするエネルギーが高まっています。だからこそ「私はどういう人間ですか」と聞かれることが多くなりました。自分を知るのが怖かったというところから、まずは星を通して自分を知るということにシフトしてきています。
星座もとに開発
――MAIさん自身の活動の変化は。
23年は年始にまず、JR名古屋高島屋との協業で運勢占いから開運ファッションを提案する「体験型の福袋」を行いました。5月からはファッションレンタルサービス「エアークローゼット」で会員向けに開運カラー診断の配信が始まり、継続して行っています。占いを学びたいという方が増えているので、新たにウェブの占星術講座も開設しました。
24年は、12星座をもとに一年を通して持つべき商品の開発を具体化していきたいと考えています。一緒に作ってくれる企業やメーカーから声が掛かれば、ぜひチャレンジしたいです。