ザ・ライクラ・カンパニー 「クールマックス」®はシャツに最適素材

2020/06/15 00:00 更新


アジア地域アパレル担当副社長 スティーブ・スチュワート氏

 ザ・ライクラ・カンパニー(米国、以下米国ライクラ社)は、シャツ業界が新型コロナウイルス感染症流行により変化する日常生活、消費者意識に対応するためには、同社の機能素材・クールマックス®(COOLMAX®)が最適な素材と言う。ルータイ・テキスタイル(中国)やスタイレム(日本)などの先進企業と協力して供給体制を整え、顧客の競争力向上に寄与する方針だ。

●ザ・ライクラ・カンパニー

サステイナビリティーを考慮する消費者

 ――新型コロナウイルス感染症拡大の影響をどう見ますか。

 働き方、勉強の仕方、友人との関わり方など日常はあっという間に一変してしまいました。これまでの日常が失われたことで、環境への配慮や人類が生存できる地球を保つことが重要との意識が高まっています。衣類の購入を決定するときに、サステイナビリティーを考慮する消費者が急増しており、特に小売店にはその影響が顕著です。感染拡大による影響は間違いなくアパレル業界に及ぶでしょう。

 ――その中で、シャツ業界への対応を強めるのですね。

 人々が必要な衣類を揃えるときに、シャツはいつの時代も欠かせないアイテムです。シャツは今回の感染拡大前にも、特別な満足感、しわやシミの付きにくさ、そして速乾性や湿気調節機能を備えた衣類に進化しつつあったのですが、これらの属性は新たな常識として定着するでしょう。シャツ業界で重要な差別化要素、主要なセールスポイント、そして必須機能となります。

 ――ニーズを満たすのがクールマックス®だと。

 クールマックス®の特徴は速乾性能です。これにより着用時の心地よい清涼感を保ちます。また、迅速な自然乾燥が可能ですから、機械乾燥よりもエネルギー消費を抑えます。

 クールマックス®フレッシュFX(COOLMAX®freshFX®)は、優れた湿気調節性能に加えて、練り込みの銀系保存助剤を利用して、新品感を長持ちさせます。クールマックス®オールシーズン(COOLMAX®ALLSEASON)は、アクティビティーのレベルが異なっても、着用者を快適に保つ効果もあります。異形断面と中空繊維の組み合わせにより、着用者が暑い時には湿気を体から遠ざけ、涼しい日には保温性により快適性を高めます。

 ――サステイナビリティーの面でも利点がある。

 シャツのバイヤーや製造工場に当社が提供するさらに大きな利点はサステイナビリティーを高める機会の提供です。例えば、クールマックス®エコメイド(COOLMAX®EcoMade)の大半は、プラスチックボトルなどをリサイクルした資源から作られています。主要なクールマックス®エコメイドの繊維製品はすべて、GRSスタンダードの認証を受けています。

 サステイナビリティーを重視するブランドやアパレルはサプライヤーに対してトレーサビリティーを求めますが、製造工場はクールマックス®エコメイドを採用することでこれらの情報提供業務を軽減しつつ、サステイナブルなハイテク製品を製造することが可能です。


世界の先進企業との協力進む

 ――サプライチェーンはどう考えていますか。

 シャツ事業の革新のために、世界的な提携を進めています。

例えば、高品質なシャツ織物生地市場で、日本を含む世界で30を超える国々に輸出している中国のルータイ・テキスタイルや、150年以上の歴史を持ち、ハイゲージニットのシャツ生地と合わせて、紳士婦人向け生地では日本でトップクラスの卸売業者であるスタイレムなどです。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、途方もない不確実性が生じています。しかし、人々が新たな日常に適応するにつれて、競争はこれまでになく激化することは確実です。ルータイ・テキスタイルやスタイレムといった有数の製造工場と世界的に提携し、顧客の競争力向上を支援します。

問い合わせはザ・ライクラ・カンパニー=junichi.kusaka@lycra.com



●ルータイ・テキスタイル

顧客ごとに製品をカスタマイズ

 ルータイ・テキスタイル(中国)は、米国ライクラ社と協力することで研究開発力を高め、世界的なシャツ生地メーカーとして成功している。

 両社の提携は、ルータイがライクラ®フリーフィット™(LYCRA®FREEF!T™)技術およびクールマックス®繊維を活用しはじめた02年にさかのぼる。現在では同社の製品は、クールマックス®フレッシュFX、クールマックス®エコメイドおよびクールマックス®エコメイド・オールシーズン(COOLMAX®EcoMadeALLSEASON)技術を含む、クールマックス®繊維技術の広い範囲を網羅している。「米国ライクラ社のプロ意識や、繊維イノベーションを当社のニーズに調整して適用させようという意欲に非常に感銘を受けました。02年から緊密な提携関係による利益を享受しています」(同社フェリックス・リー・マーケティングマネージャー)と言う。

 技術協力の例として、ライクラ®フリーフィット™では、米国ライクラ社の特許出願中の技術により、適度なストレッチ性、通気性、高い白色度および低い収縮性を含めた多くの利点を伴う軽量で、しわの付きにくいシャツ生地の製造が可能となった。「市場の要望に合う製品性能向上のために米国ライクラ社と当社で特別協業チームを作り、問題を解決し、最高品質の生地を年間500万メートル販売するまでになりました」(同)と述べる。

 同社が技術開発で重視しているのは、顧客ごとのきめ細かい対応。「顧客(ブランド)ごとに必要な生地の要件は異なります。当社はまず、先方の創造的戦略を理解し、次いで顧客の製品をカスタマイズし、差別化してもらうことが可能になるように、当社製品を微調整します」(同)と言う。そのためにも、引き続き米国ライク社との協力関係を強化する方針だ。

問い合わせはルータイ・テキスタイル(フェリックス・リー)=felix@lttc.com.cn


●スタイレム

付加価値を高めて存在感を発揮

 スタイレム(日本)は成熟し成長ポテンシャルが低下している日本のメンズシャツ市場において、価格を下げるのではなく性能やサステイナビリティーなど付加価値を高めることで存在感を発揮している。「シャツにおいて機能性は不可欠です。したがって、より性能の高い材料を利用した生地、より快適性レベルの高い製品の開発が重要になります。それが当社の役割です」(同社上田竜希氏)と言う。また、アパレルの成長戦略として「快適性やそれ以外のユーザー体験全体を高めること加えて、革新的な生地を使うこともブランドイメージの向上につながります。これによって顧客のブランド・ロイヤルティーを高め、アパレル会社の長期的な成長を保証します」(同)とも指摘する。

 これらの実現のために重視しているのがクールマックス®エコメイド及び、ライクラT400®(LYCRA T400®)など、サステイナビリティーや快適性に特徴を持つ米国ライクラ社の素材。また、自社の製造ラインに最先端の36ゲージおよび44ゲージの編み機を拡充することで、非常に細く、軽量かつ伸縮性のある生地の製造を容易にしている。

 ハイエンドから中間層の顧客ニーズに沿うことで有名セレクトショップ、国産シャツメーカーや他のフォーマルビジネスウェア、ファッション、スポーツブランドとの取り組みを強めることに成功している。

問い合わせはスタイレム(85課・上田竜希氏)=r.ueda.08@stylem.co.jp


企画・制作=繊研新聞社業務局



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