ニューヨークに続いて始まったロンドン・コレクションは6月に続き、レディスとメンズの垣根を取り払ったジェンダーレスな内容となっている。レディス、メンズにアクセサリーを含めた80ブランドが、デジタルを軸に展示会を並行して行っている。ただし、開幕直前の9月14日から政府の規制が厳しくなり、7人以上の集会が禁止されたこともあり結局、フィジカルのショーは四つのみとなった。展示会のアポイントメントも1回にデザイナーを入れての6人以下となり、見られる人数が絞られている。ハイブリッドをうたいながらも、基本的にデジタルファッションウイークという色が強まっている。
(小笠原拓郎)
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ロンドンのトップを切って、リカルド・ティッシによるバーバリーがライブストリーミングによるコレクションを披露した。映し出されるフィッティングルーム内の映像からモデルが登場すると、そこはイギリスの豊かな自然。その森の中を、続々とモデルたちが歩いてくる。その映像は、世界的に活躍するドイツ出身のビジュアルアーティストのアンネ・イムホフを迎えて、リカルドとのコラボレーションによって生まれたもの。イムホフと長年作品の制作を共にするエリザ・ダグラスによるライブパフォーマンスを背景に、コレクションを見せた。
21年春夏も、バーバリーのDNAを背景にしたコレクション。トレンチコートをはじめとしたコートが充実し、そこにリカルド・ティッシらしいシャープでフェティッシュなムードが混じり合う。テーマはイン・ブルーム」。イギリスのサマータイムから着想を得て、再生や命の循環とその象徴ともいえる水をキーワードにしたコレクションだ。深い海の中で繰り広げられる人魚とサメのラブストーリーを思い描いた。
トレンチコートは、ラバー加工のコットン、レザーとデニムジャケットのディテールが取り入れられる。デニムパンツはウエストが重ね着のようなディテールで、ブルーのシアーシャツやカットアウトされたセーターのトーン・オン・トーンでシャープに見せる。白いシアーシャツには淡いブルーのサメのヒレがグラフィカルにのせられる。軽快なコートやシャープなパンツルックの一方で、ドレスはボディーを強調したラインが軸。白いビュスティエドレスに、メタルシートのぎらぎらとした光沢をのせたミニドレスが揃う。
メンズはスリーブレスのトレンチコートやサメのヒレがモチーフとなったカーコート、ピアッシングが施されたシャツといったアイテムが登場した。船乗りのオーバーオールからイメージしたキャンバスのボイラースーツもある。透け感のあるTシャツの重ね着など、いつもより軽やかな印象に仕上がった。