京都パイル繊維工業 生地変化対応のフロッキー加工

2019/01/09 06:25 更新


 京都パイル繊維工業(京都府久御山町、玉村武夫社長)は19~20年秋冬に向けて、下生地の変化に対応するフロッキー加工を開発した。加工バリエーションの拡大とともに、取り組み型の生産・販売を強める。

 商談では、原料高騰などでウール回避が進む一方、起毛素材の人気が高まり、綿のストレッチやレーヨン複合の下生地へのフロッキー加工の要望が拡大している。しかし、バインダーとなるアクリル樹脂を吸収し過ぎる下生地が増えたことで、生地の硬化が課題だった。同社は、硬化しにくい加工を追求し、独自に前処理工程や後加工の改良、樹脂の開発に取り組み、綿やレーヨンでもソフトな仕上がりを実現した。

 ダウン側地などバインダーが浸透しにくい高密度のポリエステル織物では、樹脂を増やしても硬くならないよう、樹脂とともにナイロンのパイル(毛羽)をソフトに仕上げる技術も1年以上かけて開発し、加工を可能にした。

 バインダーの改良により、ナイロン地に異なる色のレーヨンパイルを重ねて植毛するフロッキーの2重加工も開発した。そのほか、ナイロンのパワーネットへのパイルのグラデーションカラー表現、異なる色と太さのパイルをミックスしたシャンブレー調の表現も取り入れた。

 同社は、レーヨンやナイロン、ポリエステルなど多彩な糸を0.5~1.5ミリの長さに裁断してパイルを作り、染色や植毛、整理仕上げまで手がける一貫工場。フロッキー加工機は、ロータリーやオートスクリーン、マシンなどがあり、分野やロットで使い分け、衣料や自動車分野の資材としても販売する。

 国内の秋冬物を主体に売り上げが安定しており、ここ数年は春夏の引き合いも増えている。アジア圏でのアパレル縫製の拡大に伴って中国向け輸出も伸びてきた。テキスタイルメーカーやコンバーター、染工場、商社などとのグループ化を進め、国内のスポーツ・アウトドア分野のほか、欧米市場も視野に入れた製販一体型の取り組みを強める。

異なる色のレーヨンパイルを重ねて植毛する2重加工も



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