「世界一の履き心地」を目指す国産フラットシューズ 

2019/02/13 06:27 更新


 世界の人々に評価される日本製靴を作りたい――婦人靴メーカー、クルン(東京)は、〝世界一履き心地の良いフラットシューズ〟をテーマとするブランド「クルントウキョウ」を立ち上げる。2年かけて何十回とサンプルを作り直し、完成にこぎつけた。消費者に誠実に向き合い、適正な価格で提供したいとして、3月1日に始める公式ECサイトだけで販売する。

(古川富雄)

 同社はエレガントなパンプスなどのOEM(相手先ブランドによる生産)を主力とする。ただ、パンプスはアッパーの革、パーツを突き詰めるとイタリア製に行き着くとし、日本ならではの機能素材を使った足に優しいフラットシューズなら世界で評価されるのではと考えた。

 ポイントはファッションシューズとスニーカーの良さを取り入れたこと。アッパーは革で、抗菌、防汚、蒸れ防止などの機能を持たせた。滑りにくく、軽くて衝撃吸収性の高いEVA(エチレン酢酸ビニル)を採用。片足100グラム未満という軽さにした。中敷も厚さ5ミリの高反発クッションを使い、衝撃を抑える。フラットシューズにありがちな、底が薄くて疲れやすいなどといった欠点を解消した。

 ポインテッドトウとラウンドトウの2種類があり、アッパーの素材はスムース、スエード、エナメル、ヒョウ柄の型押し、箔(はく)プリントなど50種類を揃える。サイズは20~26センチの0.5センチ刻みで、いずれは28センチまで広げる。1万1800~1万5800円。

 公式ECサイトだけで販売するのは、工場から物の価値を直接伝え、顧客との接点を大事にしたいとの思いから。他の販路も加えると経費率が上がるという判断もある。ただ、履いてもらう機会は作る必要があるとして、期間限定店は予定している。

 同社の高山雅史代表は靴のデザイナーとしてスタートし、10年前から職人を雇って自社生産を開始、X線検査検品、木型製作まで自社でこなす。しかし、さまざまな注文に応えられる職人の高齢化は進んでいる。技術継承の努力は続けるが、特定のアイテムに絞って生産する環境作りも必要と考えている。

約50種類のアッパーを揃える


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