ECで成長する韓国ファッション㊥ スピードとイメージ重視

2020/01/12 06:28 更新


 ブランドイメージ・マーケティング・拡販は、あらゆる韓国ブランドが重視する要素だ。社内にスタジオを設置、撮影にふさわしい環境への移転・改装も積極的。SNSを駆使して「着映えと可愛い」を最優先する。

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◇飽きさせない速さ

 大人かわいいスタイルを提案する「Chuu」(チュー)は、ブランド兼通販サイト。12年にオリジナル商品をECで販売し、事業を多角化している。現在15のECモールで販売し、売り上げの52%を中国や日本、アジア、欧米が占める。

 強みは「スピードとニーズ把握の速さ」と、キム・ヘリンクリエイティブラボディレクターは話す。各販路に商品を適正に配置し、SNSから販売サイトに客を誘導する。新商品は毎日約30品番投入し、約25のコーディネートを組む。

 本社内のスタジオで撮影し、ECやSNSにアップする。タイムリーで飽きさせない。コンテンツ企業として「お客からブランドイメージが消えないこと」を重視する。

コンセプトとブランドイメージを発信し続けることを重視する「チュー」

 「キルシー」は15年の立ち上げから急成長するストリート系ブランド。16年にチェリーのビッグロゴがヒットし、16~18年は年率3倍、19年も2倍。韓国は10サイト、中国は2サイトで販売し、日本も卸販売や期間限定店、ブランド協業で浸透している。EC比率は50%超。

 企画数はこれまでのレディスブランドとは異なり、年間で150型ほどだが、強みはSNSマーケティング。インスタグラム、フェイスブックなどにインフルエンサー的な顧客自らが着こなしをアップ。顧客管理も効率的に行っている。10~20代を洋服投資世代ととらえ、「若い世代への物作りとマーケティングで、ストリート系で新しい歴史を作っている」とチャ・ヤンミン海外セールスチームリーダーはいう。

SNSマーケティングで10~20代をとらえる「キルシー」

◇ECで日本再進出

 腕時計で注目されているのが「ジュリアス」。98年の創業で、02年からジュリアスブランドで自社生産し、デザイン研究所も構える。手頃さとデザイン性で中国や韓国、中東で販売量が多い。ここにきてEC比率が拡大して50%となっている。

 売れ筋価格は3000~7000円ながら、イメージ画像作りを強化する。「最近は国・地域ごとの区分けや独自の嗜好(しこう)も薄まってきた。好みが均質化している」(チョン・ビョンドクマネジャー)。日本は一時店舗を持ち、その後撤退していたが、今秋からQoo10でのEC販売を始めた。日本市場はあきらめていたが、たった数カ月で売れ行きが伸びているという。

 日本でもEC発の事業モデルは浸透しつつあるが、海外ECへの挑戦はまだまだ保守的で、慎重なところが多い。世界的にトレンドが似てきているならば、チャンスをつかみに行く決断の速さが重要になる。

(繊研新聞本紙19年12月17日付)



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