近鉄百貨店「郊外店も閉めない」 積極投資で低層階を活性化

2024/02/01 06:26 更新


衣料品、コスメ、雑貨、食物販、カフェ、期間限定店スペースで構成する「サロンドゲート」のスクランブルMDを他店に導入する

 「全店黒字。今後も店を閉める予定はない」。そう語るのは、近鉄百貨店の秋田拓士社長だ。奈良、上本町店など「中規模・郊外店」9店の収益のさらなる拡大を目指した改装に取り組む。収益性の高いFC事業や本店で構築した〝スクランブルMD〟を組み合わせながら、各店の低層階の活性化に着手する。

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 中規模・郊外店は、近鉄沿線の駅立地にある。上層階に家電量販店などの大型テナントや行政施設を誘致・導入して館を多機能化する「タウンセンター化」を進めながら、低層階で「稼ぐ」収益構造への転換を順次進めてきた。23年度は9店とも黒字という。今春からの改装は、収益性をさらに高めるものだ。

 上本町店は「エディオン」(17年春)、「ニトリ・エクスプレス」(18年春)など上層階に賃貸借契約の大型テナントを導入する一方、地下1階に「成城石井」(22年6月)、2階に「プラグスマーケット」(23年4月)を開設してきた。今春は1階化粧品売り場を圧縮し、「レディスファッション、雑貨、婦人洋品を混在化した1階にする」(同)。クラスカ(東京)の「クラスカギャラリー&ショップ〝ドー〟」を新規導入し、既存のツジ(三重県伊勢市)の婦人服セレクト店「ファーレ」と婦人洋品を改装する。この三つの売り場を統一環境で構築し、「共同運営型」のファーレを含め自社社員で運営する。

 奈良店は22年11月、賃貸借契約で「ケーズデンキ」を6階に新規導入し、2階婦人服にライフスタイル雑貨「ハンプティーダンプティー」、フルーツカフェ「フルフルール」のFC店などを開設してきた。今春から今秋にかけて1階を改装する。今春に「今までに例がない形」のFC契約店を開設するほか、本店タワー館4階に開設した衣料・食・雑貨を組み合わせた自主売り場「サロンドゲート」の奈良版などを秋に開設する計画だ。いずれも1階の魅力化・個性化が狙いだ。

自主売り場サロンドゲート

 本店に開設したサロンドゲート、「いろどりマルシェ」「美ジョンテラス」の三つのスクランブルMDは「全て黒字」という。上本町店、奈良店の改装ともに、このスクランブルMDの要素を活用して組み立てている。今後、和歌山、四日市店1階も、同様の手法で改装する予定だ。

秋田社長

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