子どもたちに明るい未来を!子ども思いな企業を紹介

2021/11/02 00:00 更新


 テレワークの導入や外出の機会が減るなかで、家族の時間、子供との向き合い方について考え直す機会が生まれています。繊維・ファッション業界でも、子供たちの未来を考えた、商品づくりや店づくり、子供向けのイベントや社会活動への取り組みが盛んになっています。

 繊研新聞社は、このような企業を応援したいと「子どもたちの未来のために」特集を企画しました。子供たちの未来を明るくしたいと、切磋琢磨する企業の活動をご紹介します。

ジェンダーレスな子供服ブランド「アーチ&ライン」が”環境サークル”の参加者を募集中!

 ファッションブランド「アーチ&ライン」は、子供と大人が一緒にファッションを楽しめるように、性別や年齢に縛られない物作りを貫いています。例えばブランドの”キラーカラー”のピンクは、性別問わず似合う色調になるよう何度も試行錯誤を重ねています。そのジェンダーレスなデザインは、テレビの情報番組にも取り上げられ、共感の輪が広がっています。そんなアーチ&ラインが今精力的に取り組んでいるのが、環境問題の改善に向けた活動です。

性別問わず着られるオリジナルのピンクカラー

子供の目をまっすぐ見られるように

 環境問題への活動を始めたのは、企画生産の長尾麻友子さんの声掛けからでした。「コロナ下で日々の暮らしを取り巻く色々な情報が入り、ファッション産業が環境に大きな負の影響を与えているのを知りました。地球の未来を考えた時に、好きなように服づくりを続けていては子供の目をまっすぐに見ることができないと思ったんです」と長尾さん。小池直人社長も同じ気持ちだったことから、何度も話し合いを重ね、物作りを一から見直しました。

 これまで素材を選ぶ基準は、見映えや質感でしたが、今はできるだけ環境に負荷をかけないものを前提に選んでいます。

小池直人社長と企画生産の長尾麻友子さん

オリジナルでオーガニックコットン素材を開発

 2012年のブランド設立当初からオリジナルで開発し、長く支持されているのがオーガニックコットン製品です。オーガニックコットンは3年以上農薬や化学肥料を使用していない畑で育った綿花のことで、非オーガニックコットンに比べ、栽培に携わる人々や土に負担が少なく、使用する水量も9割近く抑えられるとされています。アーチ&ラインのオーガニックコットンは、GOTS(Global Organic Textile Standard)(*)認証を受けています。

 アーチ&ラインでは、ベビーからキッズまで、オーガニックコットンの製品が充実しています。下の画像のロングパーカは、素材マニアの小池社長が糸から選んで開発したオリジナルの裏毛。適度な光沢があり、着心地の良さにもこだわりました。

*GOTS  オーガニック繊維製品の国際基準

ジェンダーレスできれいめに見えるロングパーカ。8,800円(税込み)

リサイクルナイロンのブルゾン

 積極的にリサイクル素材も取り入れています。このブルゾンは、紡績の際に出る落ちわたで作ったリサイクルナイロン糸を使用。環境に優しいフッ素フリーの弱撥水(はっすい)加工も施しており、突然の雨でも安心です。ボアライナーが取り外しできて単体でも着られるため、汎用性の高い1着です。

ボアライナーは取り外しできる。19,800円(税込み)

資材も使い続けられるものに

 環境に配慮した物作りだけでなく、服が工場から店舗に届くまでの物流過程で発生する使い捨てのプラスチック袋も、使い続けられるものに置き換えています。21年春夏シーズンから、一部の商品でリユーザブルバッグの使用を開始。「お客様の手に渡ったあとも2次利用していただきたい」という思いから、素材に厚みを持たせて耐久性を出し、ジップ付きのデザインを採用しています。

 そのほか、ショッパーと下げ札をFSC(Forest Stewardship Council)(*)認証の取れた紙製のものに移行しています。

*FSC  森林管理協議会。責任ある森林管理を世界に普及させることを目的に設立された国際的な非営利団体

2次利用できるジップ付き袋

環境問題について学ぶインスタライブも

 環境問題についての情報発信にも力を入れています。20年12月にブランドの公式インスタグラムでアーチ環境サークルを発足。インスタライブを通して、プラスチックフリーの実践や環境配慮型素材の製品化に至るまでなど、様々なことを発信しています。決して上から目線ではなく、みんなで一緒に学んでいこうという楽しい空気感は、まさにサークル活動そのもの。シリコンラップの使い方や歯磨き粉の選び方など、生活者目線の内容も好評です。

 百貨店でリサイクル素材に関する子供向けのワークショップを開催したり、服飾専門学校生に向けて「環境に配慮したものづくり」をテーマに講義したりと、対面で思いを伝える活動も大切にしています。また、販売先のショップや取り組み先の生産者と対話を重ね、これまでの商慣習の見直しなど、無理のない改善に向けて少しずつ歩みを進めています。アーチ&ラインの活動に対する共感の輪は、今後ますます広がりそうです。

インスタライブはみんなで学ぼうという楽しい雰囲気で

阪急うめだ本店での子供向けワークショップ


フランスの国民的子供服「ジャカディ」が取り組むサステイナブルな物作りとは?

 1976年にフランスで誕生したベビー、キッズのアパレルブランド「ジャカディ」は、フランスの国民的ブランドとして長く親しまれています。18年に日本進出を果たし、シンプルで上品、かつ1万円前後という手の届きやすさで、着実にファンを増やしています。そんなジャカディが力を注ぐのが、サステイナブル(持続可能)な物作り。環境に配慮した商品がシーズンごとに増えています。

フランスの家庭に親しまれている「ジャカディ」
0~12歳サイズを揃え、兄弟姉妹でのリンクコーデも楽しめる

デリケートな肌を守るオーガニックコットン

 有機栽培された綿花(オーガニックコットン)は、エシカル(倫理的)で環境に優しい素材の一つです。ナチュラルなイメージが強いオーガニックコットンも、ジャカディの手にかかればぐっとエレガントに。水玉模様の縁飾りのピーターパンカラーが、可愛らしさを引き立てます。きちんと見えながら、フリース地のため動きやすさにも配慮。アイコニックな裾のスカラップは、子供らしい躍動感を与えます。

オーガニックコットンで作ったエレガントなワンピース。9,240円(税込み)

ペットボトルから生まれた中わたベスト

 ネイビーとダックブルーのカラーがリバーシブルで楽しめるベストは、ペットボトルをリサイクルして作られた「レプリーブ」という繊維の中わたを使用。温室効果ガスの排出量を削減することで、子供たちのために、より緑豊かで清潔な地球を作ることに貢献しています。撥水(はっすい)加工付きで、フードは取り外し可能。外遊びにもぴったりの1着です。

撥水(はっすい)加工付きで外遊びにもぴったりのベスト。13,640〜15,400円(税込み)

アニマルウェルフェアなダッフルコート

 ジャカディでは動物愛護の観点から、毛皮の使用を禁止しています。また、サステイナブルな認証を受けた国際基準RWS(Responsible Wool Standard)のウールと天然のフェザー、RDS(Responsible Down Standard)のダウンを使用しています。

 定番のダッフルコートはすっきりとしたシルエットながら、ダックダウン入りで防寒性にも優れています。

防寒性にも優れたダッフルコート。31,460〜33,880円(税込み)

水量を抑えて作ったジーンズ

 デニムを染めるためには大量の水が必要になりますが、ジャカディでは生産工程で必要な水を2分の1まで抑えたウォーターセービングデニムの使用を増やしています。エコサート(*)認証を取得したこの技術は、より持続可能な生産を保証し、資源の浪費を削減することにつながっています。

 細身のグレーデニムは、スウェットとスニーカーでカジュアルに着られ、ブレザーとシャツに合わせればお誕生日パーティーにもぴったりの、汎用性あるデザインです。

*エコサート フランスの国際有機認証機関

オンオフ問わず着られるグレーデニム。6,820〜8,360円(税込み)

ハンドクラフトの技術を伝承

 環境に配慮した物作りだけでなく、フランスの伝統的なハンドクラフトの技術を継承し、製品作りに生かしています。代表的なスカラップ襟やプリーツ、刺繍は職人の手によって作られ、愛らしい洋服が完成します。「リバティ」プリントの生地を毎シーズン取り入れているのは、そのデザイン性だけでなく、長く使い続けられるようにという思いも込めています。

ブランドを代表するスカラップ襟


今この瞬間の愛しさを、子供の未来に残そう フォトスタジオ「ラブスト」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、行事やイベントが軒並み中止、規模縮小に追い込まれています。でも、子供の今その時の可愛さは、一瞬で過ぎ去ってしまうもの。スマートフォンで撮るのも良いですが、この瞬間の愛おしさをプロカメラマンに撮影してもらいたい、しっかり写真に残したいと思う人も多いのではないでしょうか?

子供自身が楽しめる撮影を重視

スマホ撮影OK!データはすぐにシェア可能

 フォトスタジオ「ラブスト」は、東京、神奈川に10のスタジオを持つ子供向けの写真館。おとぎ話の世界に飛び込んだような作り込まれた空間は、子供自身がワクワクできるようにと、スタッフが細かなところまで工夫を凝らしています。

 撮影中は、親もカメラやスマートフォンでその様子を撮影できるのが嬉しいポイント。その場でプロが撮ったデータをLINEアルバムに送ってもらえるので、おじいちゃん、おばあちゃんにもすぐにシェアできます。

家族もスマートフォンで撮影中の様子が撮れる

ミニ企画で気軽に非日常を体験

 ラブストが注目されるきっかけになったのが、スマッシュケーキ撮影です。1歳の誕生日を記念して、赤ちゃんが手づかみでケーキを食べるスマッシュケーキがアメリカで流行していることにいち早く着目。撮影プランに取り入れたところ、SNSで一気に火がつきました。

ラブストが知られるきっかけになったスマッシュケーキ撮影

 子供服大手のナルミヤ・インターナショナルグループのため、衣装のバリエーションが豊富なのも魅力。定番の七五三や誕生日の撮影だけでなく、「メゾピアノ」のドレス撮影会など、なんでもない日に特別な体験ができるイベントも。

子供服大手のナルミヤ・インターナショナルグループのため、豊富な衣装も魅力

 コロナ下で始まったのが、代々木公園での出張撮影やゆかた撮影など、1回40分程度、1万円以下のミニ企画。各店のスタッフが知恵を絞って考えた楽しい撮影イベントが満載です。

公園での出張撮影など1万円以下のミニ企画も好評

写真は家族にとってとても大切で蓄積されていくもの

 ラブストを起業した近藤大輔さんは、「コロナ下で写真に対する温度感が変わってきた」と言います。テレワークで家族の時間が増え、平日に家族揃って撮影する機会も増えているそうです。制服や習い事の服を着た撮影など、最後の思い出を残そうとスタジオを利用する人も。「今しかない瞬間を残そう」という熱量が高まっていると感じています。

 近藤さんが起業したきっかけに、東日本大震災がありました。テレビのドキュメンタリーで、津波に流されてしまったアルバムを無償で修復する人たちの活動を見て、「改めて写真が家族にとってとても大切で、長い年月をかけて蓄積されていくものなんだと実感した」と振り返ります。「子供たちは撮影した記憶が薄れてしまうかもしれないけれど、写真は残る。子供が大きくなったときに、写真を通して自身の成長や家族の思いを振り返る機会になれば」と考えています。

「津波で流されたアルバムを修復するドキュメンタリーを見たことが起業のきっかけ」と近藤大輔さん
スタッフ自身も撮影を楽しみ、最高のパフォーマンスを心掛けている

母子家庭向けの無料撮影会も

 そんな家族の大事な思い出づくりとして、母子家庭向けの撮影会も無料で実施しています。母子支援センターを通じて申し込みを募り、誕生日や七五三の前撮りをしました。初回は30組以上の家族が参加し、大好評だったため、このイベントを定期的に継続していくそうです。


ママの手作りのように愛情たっぷりの子供服を ハロークラフト

 ベビー、子供服メーカーのハロークラフトは、愛情たっぷりのママの手作り服をお手本に、心が温かくなる洋服作りに取り組んでいます。大手のベビー、子供服専門店で扱われているため、目にしたことのある人も多いはず。たくさんの子供たちに親しまれている洋服は、どのように作られているのでしょうか?

ママの手作り服が物作りのお手本

ナチュラルテイストにトレンドをひとさじ

   2015年の創業から、素材の選定や色、柄、着心地など、デザイン全般にわたって妥協したくないと、丁寧な物作りを重視しています。ナチュラルテイストを基本に、その時々のトレンドを加えることで、ブランドの世界をぶらさず、新鮮な提案を続けています。

 トドラーサイズも手がけていますが、主力はベビー服です。「ひとときも休まず成長してゆく心と体を、100%の優しさで包みたい」と、着心地の良い形とやわらかなデザインを追求してきました。プルオーバーは、ママが着脱しやすいように細部にゴムを挿入するなど、細かな仕様にも気を配っています。

22年夏物の商品

品質を守り、安定した物作りを

 先行きが不透明な世界情勢のなか、子育て世代も経済面で不安を抱える人たちが増えています。そのため、ハロークラフトではリーズナブルな価格を維持するための企業努力も欠かせません。中国の協力工場とは長年の信頼を築き、コロナ下であっても生産計画が順調に推移しています。今後も品質を守り、安定した物作りを目指します。

リーズナブルで可愛い商品を提案


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