子供服の今年の入卒商戦(21年秋~22年春)は、久しぶりに需要が回復して盛り上がった。好調だったのは、オンオフ着回せる汎用性の高さや個性が引き立つブランド。SC業態でも提案が活発になり、買う場がより分散している。
(金谷早紀子)
多いセット買い
阪急うめだ本店は前年同期比20%増と復調した。21年は1~3月が緊急事態宣言下で購買も五月雨式となり、式典の簡略化で単品買いが目立った。今年はトータルコーディネートでのセット買いが多く、フォーマルに強い「べべ」「シップスキッズ」が好調。「アニエス・ベー」「シャーリーテンプル」など個性が立っているブランドや、ラグジュアリーでは「エンポリオ・アルマーニ」の男児向けが良かった。一方、ベーシック過ぎるブランドは振るわなかった。全体に汎用性のあるものが売れ、客単価は下がった。
オンオフ問わず着られるデザイン性が百貨店バイヤーからも評価されているのが「ジャカディ」(コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド)だ。上品なフレンチテイストながら、ワンピースで1万円前後という手頃さも幅広い層をつかんでいる。入卒服はフランスのコレクションから日本の需要に合うものを選んで販売。前年はサイズが欠けたものもあったため、今年は量も充実させた。オケージョン用カタログを作成し、女子向けに6ルック、男子向けに3ルックを提案。ECでも特集を組んだ。ECでは、スカラップ裾の紺のワンピース(税込み1万1440円)が特に売れた。
ブランドの個性で強さが目立つのが、「メゾピアノジュニア」(ナルミヤ・インターナショナル)。卒業式用の〝卒服〟を含むオケージョンウェアは右肩上がりで成長し、今年も15.6%増と伸びた。他社の提案が消極的なコロナ下で、仕入れ量を8%増やしてバリエーションも広げた。ボレロとワンピースのセット(4万4000円)など、高単価のセットアップがよく動いた。次回も企画を増やす計画で、ツーウェーなど卒業式以外にも着回せる服を出す予定だ。
年間需要も想定
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