インポート素材を扱う各社は、円安ユーロ高という厳しい現状に直面している。為替に加え、生産コストや運賃の高騰も苦境に拍車をかける。価格の見直しや、価格以上の機能の充実が各社の避けられない課題となっている。
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仏プリントメーカーのスプリンテックス(日本での販売はクワハラエージェンシー)は、1メートル6ユーロからとインポートでは比較的安価だが、円安で「使えなくなった」と離れる客もあるという。高級ストール地を扱うファリエロ・サルティ(ファリエロ・サルティ・ジャパン)も、価格は以前の4割増と大幅な値上げを強いられるなど、売り上げや価格に大きな影響を及ぼしている。
価格対応に各社は取り組む。スイスのビショッフ(ブリオ)はデザインを本国で行い、アジアでの生産体制を整えている。大柄のアイレット刺繍をタイで生産し、価格を抑えている。
価格変動リスクを抑える動きとして、あらかじめ生機を大量に買い込む対応をとるのは、プリント主力のデボー(シー・ジェイ・ステュディオ)。価格も7~8ユーロと比較的求めやすく、毎週新しいハンガーサンプルが本国から送られてくるため、タイムリーにトレンドに対応した新柄を投入できる企画力の高さも好評だ。
一方で、「トップクラスの商品は高値であっても販売に影響はない」とするのはジャッキーテックス(ブリオ)。高級リネンを使用したメランジ素材は「高くても良い物」を求めるユーザーに引き合いが多い。
また、ファンシーツイードのジュール・トゥルニエ(コバ・インターナショナル)は地元で一貫した縫製、別注対応などに引き合いがある。「円安の影響で値段は上がっているが、それでも良い物を使いたい」ユーザーは多い。