《連載・責任者が語る、欲しい人材》③ ワールド執行役員人事統括部長・寺川尚人氏  可能性を常に考える集団づくりへ(3月14日付け)

2013/07/17 09:38 更新


 ファッション業界が転換期に入り、海外、国内の市場にチャンスが広がっている。ファッションの可能性を高める最大の要因は人材だとして、採用だけでなく採用後のフォローにも力を入れる。グループの総合力を高めるためにも、個々の能力を把握し伸ばすことで、変化を促すことができる人材を求めている。

 ――今春の採用実績と来年の計画は。
 13年は39人を採用する。内訳は総合職19人、専門職20人。海外でのビジネス拡大に比例して外国籍の人も増えているが、その採用枠は設けていない。来年は今年の実績と同規模ぐらいになると思うが、積極的な活動をしたい。いわば攻めの採用だ。これまでファッション企業希望の学生を取っていたが、さらに網を広げ、当社はカテゴリーが広く、チャンスのある企業だということを理解してもらい、認知を広げるために広報活動とも連動したい。

 ――今後の採用方針と求める人材は。
 現在、販売や生産では、その業態に合わせた別法人で採用しているが、川上から川下までのトータル企業としての採用に取り組み、グループでの総合力を高めたい。
 ファッションが好きな人であるのは勿論だが、センスよりも好奇心のある人が望ましい。ファッションを多角的にとらえる力が、より一層必要になるからだ。将来を担保するには、過去の価値観を打破して前向きにチャレンジできる人材が欲しい。
 インターンシップはお互いのイメージギャップを小さくする点で、かなり有用になっている。面接だけではわからない学生個人の意外な面を見つけられるので、後のマッチングにつながる。

 ――人材育成の考え方やプログラムは。
 入社後、総合職は半年間、デザイナーなど専門職は3カ月間、店頭で研修してもらう。当社の原点は顧客が望むことに応えること。そのために、売ることを理解してもらった上で配属となる。配属ではポジションをチャンスとして与えて、成長を促す方法をとる。これを継続しつつ進化させ、ビジネス上必要なものとして戦略的な配置を考えている。各人にとって、単に適性な場所に配属するのではなく、総合的な観点で人材配置する。入社後5年間は、どういう仕事をして、どのように育っているかを人事統括部で必ず確認して、フォローとサポートをする。彼らの置かれている状況が有効的に作用しているかを検証し、経験値を上げるモデルを作っている。いつも何らかの工夫、可能性を恒常的に考える集団となるのが理想。そのために個人のアイデアが上部に提案しやすい風通しの良い環境も、合わせて進めている。

◇ここに注目◇
 ファッションイメージの強い神戸に本社を置くだけに人気も高い。会社をブランドとして見れば、社員は最大のファンであり財産、とする姿勢が離職率の低さからもうかがえる。
=おわり



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