ジャパンイマジネーションと杉野服飾大学は、産学連携プロジェクトとして昨年4月から、「セシルマクビー」の今春夏物の商品開発に取り組んでいる。同校ファッションビジネス・マネジメントコース3年の32人が、同社の取引先メーカーとの3者共同でサンプルを作り、昨年末にショー形式で検討会を開催。このほど4スタイルの量産化が決定し、3月末からの初夏物として限定店で販売する計画だ。
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両者は12年度と15年度にも、同コース3年の産学連携授業で商品開発を実施。「ビー・ラディエンス」の一部店舗で13年秋、学生が企画した商品を販売した実績がある。今回は「昨年で30周年を迎えたセシルマクビーで、主対象の18~22歳と同世代の学生から意見を聞き、新しい方向性を探る狙い」(ジャパンイマジネーション)で商品の共同開発を行った。
授業では7班に分かれ、前期に店舗見学や商品分析などブランド研究を行い、昨年7月に各班約40型をデザイン画で提案。今の流れや若者の感覚を取り入れた企画が揃うなか、各班5スタイルに絞って9月から、ジャパンイマジネーションの企画担当やメーカーと共同でサンプル製作を開始。
ブランドコンセプトや価格設定に合わせ、生地や副資材を選び直し、細部のデザインを修正した上で、一部作品はメーカーに縫製を依頼してサンプルを完成させた。
昨年末のサンプル検討会に向け、従来のモデルによるウォーキング指導に加え、アトリエはるかなどプロの協力を得て、新たにヘアメイクとスタイリングの指導も実施。完成度の高いショー形式での検討会後、セシルマクビー事業部で1週間かけて選考。「作品の良さだけでなく、〝モテ服〟がコンセプトのブランドの顔に乗るか、セシルの商品として売れるかを基準に、4スタイルを選定」し、1月最初の授業で学生に発表した。
選ばれたのはフレアの裾や袖口のフリル、オリジナルの大小の水玉プリントがエレガントな表情ながら、胸元と背中の肌を少し見せたワンピース。にじんだ花柄で抑えめのフリルや膝から下の透ける素材などモテ服仕様のオールインワン、着回しできるオーバーサイズのストライプシャツなど、服は3型。ルームウェアも、ピンクのロングガウンとパンツ、巾着にもなるサテンバッグのセットで量産する。
「学生は物作りからショーまで、各現場の担当者からプロの仕事を実践的に学ぶ得難い経験ができた」と担当の鈴木明教授。同校では、今後も企業と連携し、ファッション業界に貢献する人材を育成していく考えだ。