昨年11月に開業50周年となった池袋パルコは、「大きく変わり続ける街との共生」(植野洋平店長)をテーマにした大型改装を21年度(22年2月期)に完了させる。
今年7月に劇場、大型複合映画館とオフィス、商業ゾーンを備えた大型複合施設「ハレザ池袋」が全面開業するなど周辺で再開発が進み、「来街者がさらに増え、その幅も広がる」ことを見据えた施策だ。強みであるファッション、カルチャーを活性化しながら、コスメ、雑貨、食などを強化し、「立ち寄る場」としての機能を高める。
(有井学)
【関連記事】渋谷パルコ 全館イベントで春夏ファッションを訴求
大型改装は19年春に始まった。「主力客層でありながら、30~40代に比べて少し利用が減っている」という20代の需要を拡大するため、ヤングレディスファッション主力の本館地下2階を秋にかけててこ入れした。昨春に定額制のセルフエステサロン「じぶんdeエステ」、秋にティースタンド「ヤムティー」を導入。さらに、昨秋は韓国コスメ「エチュードハウス」を拡大、アイウェア「ジンズ」を別館のピーダッシュパルコから移設・改装するなどしてヤングに向けたライフスタイル提案を強めた。
その結果、同フロアへの来店頻度が増え、客層の幅も広がり、成果はあったという。同館7階にあるエンターテインメントコンテンツとの協業を行う直営カフェ「ザ・ゲストカフェ&ダイナー」、直営ミュージアム「パルコファクトリー」と地下2階との相互送客も増え、「来館動機が複線化」したと見て、「友人などと時間を共有することを楽しむ層のニーズを取り込めた」とする。
昨秋は、強みであるファッション、カルチャー好き向けのMDも拡充した。ピーダッシュパルコでメンズ・レディス複合ファッションを強化。メンズとレディスの店が別々だった「ステューシー」を複合店としたほか、「アディダスオリジナルスショップ」「ハフ」「レジェンダ」を導入、メンズセレクトショップ「ファゾム」も入れた。「エヴァンゲリオンストアトウキョウ01」を拡大するなど、ストリート、スポーツ、カルチャーを掛け合わせた提案も強めた。ステューシー、アディダス、エヴァンゲリオンストアを中心に改装区画は全体に順調だ。
昨年12月21日には地下2階全体にトイ・グッズ専門店「まんだらけ那由多」がオープン、カルチャー色を強くした。キャラクター好きのマニア層からマス層、訪日外国人まで幅広くつかみ、順調なスタートという。
今後は下層階のファッション・雑貨中心フロアと上層階のレストランフロアを秋から段階的に改装する方針。「この間の改装で、強みのファッションとカルチャーの提案は一定できたが、『ふらっと立ち寄る場』としての機能はまだ足りない。ここを強化していく」という。そのため、「渋谷パルコのMD編集やテクノロジーの活用策を池袋流にアレンジし、取り入れる」考えだ。