ファッションの個店で服以外のオリジナル商品の開発が目立つ。千葉県柏市のメンズ主力のセレクトショップ「アイスリー」を運営するリコラージュは今秋、オリジナルでスキンケアブランド「リユージュ」の販売を始めた。服よりも生産のミニマムロット（1000個）が大きいこともあり、自店での販売だけでなく、セレクトショップや美容室などへの卸売りも広げる予定だ。
（大竹清臣）
同社のきっかけは、昨秋から仕入れた粘土科学研究所の国産クレイ（モンモリロナイト）にこだわったスキンケアブランド「クルム」「ペダルアンドセンツァ」が好評だったため。期間限定販売を3回行い、主力顧客の20代男性から人気だったうえ、女性客の新規獲得にもつながった。同店の2日間のイベントが都内の有力百貨店での1週間の限定店の売り上げを上回るまでになった。リユージュのディレクターをする土岐真衣子さんは、オーナーの妻で同店のフレグランスやコスメのバイヤーだ。エステティシャンやヨガインストラクターの経験もあり、現在もファッション誌『LEE』の読者モデルを務めるなど、美や健康への意識が高い。
「仕入れていたブランドを個人的に気に入ったことが大きく、購入してくれた知人の女性客を中心に使用した効果などの意見を1年間、聞けたことが今回の開発に役立った」と土岐ディレクター。試作を繰り返した結果、保湿力を第一に考えた国産クレイをたっぷりと配合し、敏感肌にも優しい天然志向、香料不使用のクリームフェイスウォッシュが完成した。容器やパッケージのデザインは、取引があるアレキサンダーリーチャンに依頼した。こうして粘土科学研究所と共同開発したリユージュは、9月の13周年イベントで第1弾商品の販売を始めた。
卸販売も順調で、美容室2社で開始する。今月下旬には高島屋柏店で期間限定店を開く。さらにセレクトショップなど卸先を開拓する計画で、来年は都内百貨店での協業企画も予定する。
「今後、メンズ店でもスキンケアなどコスメ関連はフレグランスと同様にギフト需要はもちろん、ジェンダーレスなアイテムとして成長が期待できる」（田中庸介代表）とみている。
