ファッション特化型起業家支援拠点の「イデタチ東京」(東京都荒川区)は、入居した事業者が着実に成果を上げている。東京コレクションに参加したり、海外進出に着手したりと新たな一歩を踏み出した。ファッション業界ではインキュベーションの役割を担う場が少ないなか、切磋琢磨する次世代のクリエイターを荒川区が支援し、羽ばたくチャンスを創出する。
(大竹清臣)
イデタチ東京は21年2月、日暮里にオープンした。起業支援サービス事業などのツクリエ(東京)が運営。起業希望者や創業間もない9事業者が1期生として入居した。オフィススペースを24時間・365日活用しながら、継続的に成長できるファッションビジネスが行えるよう、インキュベーションマネジャーによる起業・経営相談、ファッション関連のセミナーや交流会の開催、起業経験者・専門家によるメンタリングなどで入居者をバックアップする。
入居者の中で、いち早く注目されたのがレディスブランド「ホウガ」。19年春夏にスタートし、入居後すぐに東京コレクションに参加した。ランウェーでの発表を継続し、1年半で卸先は20社以上に増えた。デザイナーの石田萌さんは、大手アパレルから出産を機に独立し、当初は自宅で展示会を開いていた。入居後は専門家などにブランドの方向性などを相談できたことで、「新たな挑戦に踏み切れた。国内市場に定着できたら、次のステップとして海外販路の開拓」も検討している。