世界的に活躍する前衛芸術家で作家の草間彌生。
昨年10月1日に開館した草間彌生美術館は海外からの訪問者も多いため、「思い立ったら即ネット予約が必須!」というスポットだ。
というのもチケットは事前予約制で、毎月1日10:00(日本時間)に美術館webサイトにて翌々月分のチケット発売を開始するから!
さて、年間2回を予定している展覧会の第2回目
「さあ、今、我が人生の最大の出発にきた」
が4月1日よりスタートし、8月31日まで開催している。
幼少期から幻覚を描きとめるドローイングを1日数十枚も制作
というくだりで始まる本展のコピー。
その一端を垣間見ることができる1950年代、故郷・松本で描いたドローイングや水彩作品(上記画像)はいずれも、若き日のほとばしる情熱の静けさのような印象を勝手ながら抱いた次第。また最新の絵画シリーズ≪わが永遠の魂≫(下記画像)でも、初公開作品を披露している。
ちなみに会期中2階のみ、前期(~6月17日)と後期(6月21日~8月31日)で展示作品の入れ替えがあるとのことだ。
なお開館は木曜日から日曜日&国民の祝日、また各回定員入れ替え制(各回90分/定員70人)となっているので、週末プランはお早めに!
日本を代表するアーティストのミュージアムの話題でスタートした「CINEMATIC JOURNEY」。今回のテーマはズバリ「ミュージアム×シネマ=∞」!
ということで、シネマでミュージアムと言えばやはり、『ナイト・ミュージアム』を連想する方も多いだろう。その舞台でもあったアメリカ自然史博物館が再びスクリーンに登場する新作『ワンダーストラック』の話題から。
アメリカ自然史博物館は、僕が育った場所でもあり、敬意を払うべき、神聖な場所だ
(資料より引用)
と語るのは、美術監督のマーク・フリードバーグ。
50年の間に多くの部分が変化を遂げているため、時代を逆戻りさせるのは容易なことではないのだが、幸いにも原作者で脚本を担当したブライアン・セルズニックと博物館のスタッフとの信頼の絆が、最高のパートナーシップを本作にもたらしてくれという。
一方、トッド・ヘインズ監督がこだわった「実際に耳の聞こえない少女に演じてほしい」ローズ役を、聴覚障害のある無名の新人、ミリセント・シモンズ(写真下)から届いたオーデションテープとの衝撃的出会いにより実現。
また何といっても、宝の山のような自然史博物館の裏側や、クィーンズ美術館の巨大パノラマを捉えることのできた撮影は、貴重な体験だったそうだ。
さて肝心なストーリーについて、鑑賞前の予備情報を少しばかり。
トーキー到来という映画においても転換期となった1927年と、ニューヨークの歴史上最悪の出来事であった大停電が起きた1977年。それぞれの時代のニューヨークを舞台に、大切な人を探しに訪れた少女ローズと少年ベン。予期せぬ出会いと思わぬハッピーを観る者たちとシェアする、温もり感に包まれる物語だ。
ちなみに劇中、ベンのママが聞いていたデヴィッド・ボウイの代表作「スペース・オディティ」も素晴らしいのだが
たとえ優秀なミュージシャンや最高の機材を集めたとしても、こんなに素晴らしい音楽を創り上げることは、僕にはできなかっただろう
と、ボウイに言わしめたエンディングを飾るラングレイ・スクール・ミュージック・プロジェクトのカバー曲は予期せぬ出会いのひとつかも。
4月6日(金)より角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国ロードショー
配給:KADOKAWA
PHOTO : Mary Cybulski
映像・作品クレジット:Ⓒ2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
「ミュージアム×シネマ=∞」がテーマの「CINEMATIC JOURNEY」。
所をニューヨークから、スウェーデンへと移し、今度は現代美術館が舞台の映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』へ。
2017年に第70回を迎えた、❝カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」受賞作❞と聞いただけで十分、「ART」な香りがするのだが、本作のテーマはさらに深くて、シニカルで、そして共感を呼ぶ、正真正銘の文化的作品の一つ。
というのも、2015年4月18日から6月21日まで、スウェーデンのベーナムーにあるデザイン美術館「Vandalorum」で開催された、本作監督リューベン・オストルンドと映画プロデューサーかつヨーテボリ大学ファインアート・アカデミーの映画芸術学部教授カッレ・ボーマンによるアートプロジェクト「ザ・スクエア」のアイデアを膨らませ、完成したのが本作というのだから。
さて気になるストーリーについて、公開前に少しばかり個人的おススメポイントを!
まず、サブタイトルの「思いやりの聖域」。
近年、希薄になりつつある「思いやり」という言葉が持つ意味を、いま改めて見つめ直すことになるのでは?いや、なってほしいと思った次第。
そして、スタイリッシュな現代美術館のキュレーターである主人公クリスティアンが、随所に潜むキーワード「正義」「SNS」「家族」などに出くわす度に、観る者それぞれの良心が試されるような気がする。
ちなみに、本作の美術館のシーンに登場するのは、砂の山のインスタレーションを含め、ほぼすべてセットを建てて撮影しているそうなのですが、ごく一部に限っては、実際のミュージアムが登場しているのだそう。
その一つが、階段でスピーチをするシーンは「Varldskulturmuseet Goteborg」なのだとか。(監督談)
4月28日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、立川シネマシティほか全国順次公開
配給:トランスフォーマー
Ⓒ2017 Plattform Produktion AB / Societe Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中