このところ言葉の持つチカラに、感動を覚えることが多い。たとえば、ちょっとしたメールの一文や、何気ない会話のひと言。「もしかして心がドライになっているのかなぁ?」などと思ったりもして(苦笑)。だからなのか、映画のストーリーそのものの味わい深さもさることながら、温もり感あふれる台詞に胸がキュンとする。
たとえば、「ニューヨーク 冬物語」でのヒロインのこの台詞。
「いつか1人で果たすべき役目を終えた時、私たちは空に昇って、愛する人と再会するの…」
たまらなくロマンチックだと思いませんか。そして思わず今宵、夜空を見上げたくなってしまった。果たして私には、どんな人物との再会が待ち受けているのだろう???
さて、NYを舞台に繰り広げられるオトナのファンタジーにして、1世紀にわたる(1916年~2014年)“TRUE LOVE”ストーリーといった趣の本作。その原作となる800ページ近いベストセラー小説「ウィンターズ・テイル」に感動したのが、脚本家として名高いアキバ・ゴールズマン。
80年代に本書と感動の出会いをしてから、映画化に至るまで数十年。そして遂には、自ら脚本、製作、さらに監督デビューをも飾ったと知れば、こちらも計り知れないほどの情熱が、背景に潜んでいるわけだ。
魅惑的たたずまいのグランド・セントラル駅ほか、20世紀初頭より今なお現存する美しい建造物の数々、かたやシルクハットに燕尾服のジェントルメン、またエレガントなドレスにファー、アンティーク・ジュエリーなどで着飾ったレディたち・・・エンジェルのような白馬と共に駆け抜ける、時空を超えたNYドリーム・ジャーニーと言えるかも。
『ニューヨーク 冬物語』
現在、公開中
©2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND
VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED. ALL RIGHTS
RESERVED.
「・・・愛というものは人の心にとって、ずっと自然になじむものだから」
昨年末、惜しまれつつも天に召された南アフリカ共和国の英雄、ネルソン・マンデラ。氏の自伝に基づくヒューマンドラマこと、『マンデラ 自由への長い道』からの引用だ。
実は数年前、「旅」をテーマとする取材のために南アフリカを訪れたことがある。雄大な自然と動物たちを目の当たりにし、さまざまな非日常体験が織りなす感動の連続は、永遠に忘れることのない思い出となった。
またヨハネスブルクでのトランジット時間を有効活用したく向かった商業エリア、サントンのネルソン・マンデラ・スクエア。広場を見下ろすかのようにそびえ立つ(5メートル程あるという)氏の像との対面も。
さて、そんな誰もが知る人物。だがその実、詳細を知る者は案外少ないのかもしれない。よって、本作は1人の人間、ネルソン・マンデラを知る絶好の作品といえそう。それは、冒頭の言葉からも推測できる大義としての「愛」、そして「共存」の大切さをも分かち合うこととなるだろう。
なお、本作のために書き下ろされた主題歌「オーディナリー・ラブ」は、氏との親交も深かったという「U2」ボノによるもの。この曲を聞きながら、南アフリカの未来を夢想するひと時を再び・・・
『マンデラ 自由への長い道』
現在、公開中
©2014 Long Walk To Freedom(Pry)Ltd.
「俺たちがついている…」
この何気ない一言には、58年の歳月で構築された4人組の信頼と友情の絆がある。
マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クライン。
まさにハリウッド・レジェンドな彼らだからこそ紡ぐことのできる極上のエンタテインメント「ラスト・べガス」(一瞬、読み間違えてしまったのかと…笑)。よって、いうまでもなくラスベガスを舞台に、最高にゴキゲンなストーリーが展開される。
仲間内で唯一の独身オヤジが遂に、親子ほど年齢差のある女子と結婚を決意。急遽集結することとなった幼なじみたちが繰り広げる、セレブ気分のバチェラー・パーティー。4人4様の個性あふれるスタイリングがスーパー・クール!!! あたかも受賞式のひとコマを思わせるほど。(個人的にはモーガン・フリーマンの赤いスーツが最高にイケテルのではないかな~と)。だがそこには長年のわだかまり、互いに知ることの無かった真実、そして新たな恋の予感が…
共学育ちの私としては、いくつになっても変わらぬ男子たちの交友関係には、ビックリすることがある。本作もまたそんな一端を再認識。だからこそ冒頭の言葉の奥深さに胸が熱くなるわけで…
『ラスト・ベガス』
現在、公開中
©Copyright 2013 CBS Films Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中