毎年恒例となっている新年のFamily Tiesな運試し的お楽しみ企画「ガレット・デ・ロワ(La Galette des Rois)」。家族に限らず、親しい顔ぶれの1月の集いには、もはやなくてはならない存在と化している。
大きなガレットをみんなでシェアし、さまざまなデザインの「フェーヴ」を当てる楽しみと、そこに流れる和やかな時間のコレクション。
「かるた」や「すごろく」など日本風ゲームとセットで、王冠獲得に挑むのも一興かもしれない。
ちなみにガレットに関する豆知識を一つ。「もともと古代ローマでは太陽の再来を象徴した」のだそう。確かによく見ると、太陽と似た形をしていることに、今更ながら気づく。
そんな太陽のお菓子を囲み、フランス大使公邸で開催された「Salon de la Galette des Rois 2016」なる、スペシャルな新年の集いに伺うチャンスをいただいた。
今年で13回目を迎える「Club de la Galette des Rois」主催による「ガレット・デ・ロワコンテスト」。その結果発表につづくレセプションでは、受賞作品をはじめ数多くのガレットをテイスティングできる絶好のチャンスに、集うゲストたちのインターナショナルな笑顔もまた格別だったように思う。
そして「2016ガレット・デ・ロワ大使」に任命されたラグビー日本代表の大野均選手。実は大のワイン愛好家としても知られ、フランスの食文化との縁も深く、その爽やかな佇まいもまた印象的。
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というわけで、新年の幕開けに選んだMy Cinema selectionのテーマは「家族の絆」。ファッションからアニマル(?)まで、さまざまなキーワードとともにご紹介します。
まずは現在公開中の『パディントン』からスタート!
赤い帽子とクラシカルなデザインのスーツケースを手に、長旅の末、ロンドンのパディントン駅へと到着したペルー生まれのヤング・ジェントルマン、ではなくジェントル“ベア”!?
途方に暮れる彼に声をかけてくれたのは、ブラウン家のママで冒険物語の挿絵画家、メリー。
そしてなんと幸いにも彼女に家にホームステイが決定し、出会った駅名そのまま「パディントン」とネーミングされ、ブラウン家の人々(パパ、ママ、娘、息子、家政婦役を兼務する親戚の叔母)と繰り広げるサプライズとハプニングに包まれた日々が始まる。
時に切なくも温かなヒューマンな時間が経過する中、果たしてパディントンの旅の目的である「探検家との対面」は実現するのだろうか?
ところで、幼少時にパディントンのぬいぐるみファンであった私は、彼の定番スタイルであるダッフルコートを愛用し、ラバー製のウェリントン・ブーツではなくレザー製、俗にいうウェスターンブーツを好むプチオタク女子(?)だったのかもしれない。
そこでパディントンベアのファッションアイテムの一つ、ウェリントン・ブーツについてい、あれこれリサーチしてみると、やはりあの人気の老舗ブランド「HUNTER」で、そのカテゴリーを見つけることができた。
しかも空想の世界にひたりすぎてしまったせいもあってか、青いコートとのコーディネートに、勝手ながらパディントン・テイストを感じてしまった次第(笑)
ともあれこの春夏コレクションは「フェス」をテーマに、カラフルなテント素材が、クラシックなフェスティバルフットウェアを包むように登場している。「夏の夕焼け」をイメージしたカラーパレットもなんともロマンチック!
続いてのシネマは『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』。
ウディ・アレン監督作品の常連時代から、そのファッション・センスも伴い、長年ファンでありつづけるダイアン・キートン。
本作でもまた彼女ならではの帽子やストールの小物使い、カラーグラデーションの絶妙なコーディネートなどなど、独特な着こなし術が「ダイアン流NYスタイル健在!」を実感する。
一方、どんな役柄も味わい深い名演技で観客を魅了するモーガン・フリーマン。
彼ら二人の初共演となる本作は、結婚を夢見る世代、そして結婚を夢見た世代。
観る者それぞれの年齢相応の想いと重ねあわせながら、パートナーと紡ぐ時間の未来をプラニングする機会となりそうだ。
そしてまた「住まい」に求める大切な何か。
その問いと答えを見つめ直すチャンスになりえるかもしれない。
ところで、本作にも大切な家族の一員として愛犬が登場するのだが、人間と動物が織りなすFamily Tiesも忘れてはならないテーマの一つに加えたい。
「子はかすがい」というフレーズを一度くらいは、耳にしたことがあるのではないかなと思う。が、ひょっとすると「ペットはかすがい」なんてフレーズも将来的には想定内といえそうな?
ともあれ、昨今人気のブルックリンをスクリーン散歩気分で鑑賞してみては。
ネコ好きであろうとなかろうと、気づけばあなたもネコ派?になってしまうほど、ネコを愛おしく思ってしまうのが本作のマジック。
拾ってきたのは兄(実生活でも大のネコ好きという、つるの剛士)なのに、なぜだかネコ好きでもないはずの弟(元は犬派という風間俊介)になついている。そして、とどのつまりはネコと弟の3人暮らし。ならぬ2匹と1人暮らし。
いつしか芽生えるネコと役者の役柄を超えた連帯感がミラクルショットを実現させ、家族愛にも似た温かな空気がスクリーンいっぱいに広がり、観客の心までもほんわかまるくなっていく。
余談だが、味のある大家さん役がピッタリの市川実和子もネコ好きなのだが、「実はネコアレルギー!」というのだから、心と体の関係もフシギなものだ。
なお、「本作の主役はチンとクロのネコですから」との主演の風間俊介の予測通り、タイトルさながらに『猫なんかよんでもこない。』のだったと、プロダクションノートに記されていた。
「思うにネコと恋愛は、共通項がありそうな?」
「ならば恋愛ゲームのトレーナーとして、良きナビゲーター役を務めてくれるのかも(笑)」
などと、フシギなネコ・スパイラルに導かれそうなので、あとはスクリーンでのご鑑賞を!
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中