モードもシネマもCoolな母力!(宇佐美浩子)

2019/02/28 06:00 更新


ファッション界も映画界も昨今、ママたちの活躍が気になる。

たとえばファッション界に目を向けたなら…

先日、2月19日の「85歳の生涯を全うした」という表現が、私的印象としてはシックリくるカール・ラガーフェルドさん逝去のニュース。と同時に、1965年以来54年という歳月を共に歩んだメゾン「フェンディ」のラスト・コレクションが、没後わずか2日の21日、ミラノで予定通り発表された。

そのショーの最後に、今回は1人で登場したシルヴィア・フェンディさんの合掌の映像が、なんとも印象深く心に刻まれたのは、きっと私一人だけではないような。。

my KL collection

そんな彼女を筆頭に、ミウッチャ・プラダさん、荻野いづみさん(アンテプリマ)、そしてステラ・マッカートニーさん…とまだまだつづく才能豊かなファッション業界「ママ」たちのネームリスト。

一方、映画界は言うまでもなく、母として、妻として、そして一人の女性として活躍する、ママ女優やママ監督たちが世界中を見渡したなら星(=スター)の数ほどと言える☆

ちなみに、時の人となったこの人もそんな一人。

数日前の2月24日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビーシアターで開催された第91回アカデミー賞授賞式にて、輝ける主演女優賞の栄冠を手にしたオリヴィア・コールマン。

前回の当コラムでも紹介した『女王陛下のお気に入り』のヒロインを演じた彼女もまた、3人の子供を持つママ女優だ。


©2018 Twentieth Century Fox  

一方、間もなく(3月9日~)全国公開になる、日仏シンガポール合作の斎藤工主演、美食シネマ『家族のレシピ』で、シングルマザーのフードブロガーというユニークな役どころで好演している松田聖子。

アジア全域における「永遠のアイドル」にして、言うまでもなくマルチに活躍するママ・アーティストだ。

というわけで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、「モードもシネマもCoolな母力!」をテーマに、さまざまなママたちとの出会いをシェア!それでは早速、アイスランドへとtake off!


ふとした瞬間にときめきを覚える、内なるたくましさと美しさが宿る表情、そしてしなやかな中にも揺るぎない信念。

そうした複合的魅力が、より一層魅力的に輝かせているではないかと思ったのが、アイスランドから届いた一作『たちあがる女』のヒロイン、ハットラと双子の姉アウサの二役を演じる、ハルドラ・ゲイルハルズドッティルだ。

アイスランドの俳優にしてミュージシャン、さらに舞台演出家としても活躍する彼女は、本作でもセミプロ合唱団の講師と、謎の環境活動家「山女」という異なる顔を持つ女性に扮し、時にユーモラスに、そしてシリアスかつドラマチックに物語をリードする。

そしてもう一人、姉役としてはヨガの先生&平和主義者という、一見したところでは正反対な女性を演じ分けている。(写真下)


ともあれ、ヒロインが長年抱いていた夢、「養子を迎え、母親になること」が実現の運びとなる日を前に挑むべき決着の行方はいかに?

ちなみに本作に深く感銘を受けた女優、映画監督&プロデューサー、そしてママでもあるジョディ・フォスターが監督兼主演でリメイクされることが決定したそう。完成が楽しみだ!


最後にもう一つ、彼女の心情をサウンドでデザインするかのごとくストーリーを味わい深く演出してくれるブラスバンドとウクライナの合唱隊、そしてヒロインとのスクリーン上の共演もまた実験的魅力にあふれている。


『たちあがる女』

3月9日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

©2018-Slot Machine-Gulldrengurinn-Solar Media Entertainment-Ukrainian State Film Agency-Koggull Filmworks-Vintage Pictures



冒頭にも記したカール・ラガーフェルド氏が生前、惜しみない愛情を注ぎ、CMにも登場するなど、セレブな愛猫、マドモアゼル・シュペット。彼女にとっては父であり、また母でもあったであろうカール様亡き後、どんな思いで毎日過ごしているのだろう?


そんなことを思いつつ、最後にもう1作『ねことじいちゃん』をご一緒に!

動物写真家として著名な岩合光昭が初監督を務めた同名の人気漫画の映画化となる本作。

スクリーンに登場する猫たちの俳優魂は、おそらくマドモアゼル・シュペットの仕事で見せる顔と同じではないのかなぁ、と勝手に想像してしまった。

とりわけオーデションに集まった100匹以上の中から見事栄冠を勝ち取った、主人公じいちゃん(立川志の輔)の飼い猫、タマを演じるベーコン(オス)。彼の演技力には誰しもきっと驚きを隠せないだろう。


さて、いつも気になるエンドロールのクレジットだが、今回も「なるほど」とか、「やっぱりね」とか、密かな楽しみをもった次第。

中でも人間を犬顔と猫顔に2大別したなら、彼女はチャーミングな猫顔ではないかと思っている女優、柴咲コウ。さりげなく髪をまとめているバンダナなど、ナチュラルで心地良さげなそれらは「もしや…」と思いきや、やっぱり「45R」とクレジットされていた。

日頃より親しみのあるブランドは、フシギと感が働くのだろうか?

それはまたドクターズコスメとしても注目のブランド「アンプルール」も。ちなみに開発者である髙瀬聡子先生も、実はママ皮膚科医として活躍する素敵な女性だ。

ここで再び本作に登場する猫たちにまつわるトピックスをご紹介したく。

動物写真家だからこそ捉えられたのであろう、彼らの表情豊かな一瞬一瞬を撮り下ろしたスチールフォト約160点を展示する本作の公式写真展が現在、全国巡回中だ。

映画と写真展、どちらが先でも感動には違いがないことを、私自身は既に実感済み。


『ねことじいちゃん』

新宿バルト9ほか全国公開中

©2018「ねことじいちゃん」製作委員会


PS.冒頭にも少しばかり紹介した第91回アカデミー賞授賞式の話題だが、やはり前回のテーマ同様、今年は「女王=QUEEN」パワー全開の模様!主演女優賞のみならず男優賞も「ボヘミアン・ラプソディ」(本作は最多の4冠)のラミ・マレックが獲得しているのだから!

宇佐美浩子の過去のレポートはこちらから


うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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