アートなシネマは銀座が似合う②(宇佐美浩子)

2018/09/30 10:00 更新


前回につづき、「CINEMATIC JOURNEY」9月のテーマは、「アートなシネマは銀座が似合う」。

後半はさらにまた一層魅力的なシネマ散歩が待ち受けます。

まずは日本が世界に誇るアニメの新作『若おかみは小学生!』から!

毎年6月にフランス東部の都市、アヌシーで開催される「アヌシー国際アニメーション映画祭」。

世界1長い歴史を持つという、このアニメーション映画祭のコンペディション長編部門に今年、正式出品され、現地でも好評を得た現在公開中の本作。

原作は累計発行部数300万部を超える児童文学シリーズとあり、ファンの顔ぶれも幅広い。

そんな話題作の劇場版監督とキャラクターデザインを手掛ける高坂希太郎は、スタジオジブリ作品の作画監督も多々手掛けてきた注目のアニメーターだ。

「リアリティ」や「イメージ」へのこだわりが香る監督ならではの徹底ぶりは、老舗の温泉地(有馬温泉)や京都の老舗旅館(美山荘)へ取材に行くなど抜かりない。

こうして完成した本作の舞台となる花の湯温泉の旅館「春の屋」(祖母宅)の玄関(上記画像)は、突然の事故で両親を亡くしたヒロインが、小学6年生ながら新たに挑むこととなる人生に、たくましくも微笑ましい成長ぶりを描く定点なのだそう。

そんな舞台裏を垣間見る絶好の機会となる本作公開記念原画展が、有楽町マルイのイベントスペース(8F)にて10月8日まで開催中だ。(入場無料)

さまざまなシーンの原画や絵コンテ、さらにはヒロインのファッションやヘアスタイルほか、細部にいたるまで構想を巡らせた足跡ともいうべきイメージボードなどなど、作品観賞前後いずれでも感動すること確実、と太鼓判を押したい筆者でした☆


『若おかみは小学生!』

TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中

©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会


「アートなシネマは銀座が似合う」がテーマの9月の「CINEMATIC JOURNEY」。続いて向かうのは銀座メゾンエルメスの10階にある予約制のミニシアター「ル・ステュディオ」!


©Michel Denance

エルメスと言えば、この夏に国立新美術館で開催され、大好評の中、幕を閉じた体験型展覧会『彼女と。』のテーマがまさにシネマ。

そして展覧会場は、期間限定映画スタジオへと変貌を遂げ、私たち参加者をアッと驚かせたことも記憶に新しい。

そんなエルメスが、新たに私たちにトキメキを与えてくれたのが、今月と来月の2か月にわたり開催中の映画の街・撮影所をテーマにしたスペシャルなプログラム「チネチッタ」だ。

チネチッタと言えば、ローマにある伝説的スタジオの名でもあり、その名とイコールで繋がる巨匠、フェデリコ・フェリーニ没後20年に製作されたオマージュ作品『フェデリコという不思議な存在』と、映画創世記の名作を軸に、映画の製作現場を追いつつ、パリの街を舞台に繰り広げられる、オリヴィエ・アサイヤス監督の名作『イルマ・ヴェップ』。

これら2作の上映に加え、トークセッションや展示も楽しめるバージョンアップした内容となっている。


シャンタル・ストマンさんと展示作品/©h.usami

 というわけで、特別プログラムの上映日に限り、ル・ステュディオのロビーにて鑑賞できるパリ在住の写真家シャンタル・ストマンによるインスタレーション「オウメチッタ」。

彼女が訪れ「世界のどこにもない」と感動した青梅の街の風景と、出会った人々が引き金となり、本展開催へと準備が進められたというストーリーもまた、ロマンにあふれている。

その作品は、大判テキスタイルにプリントされた青梅の街のあちらこちらで目にすることができる、昔懐かしい手描きの映画看板の写真。それらがモビールとなり、空をゆらゆらと舞うような展示手法は、

"モノゴトというのは留まることが無いものです"

と語るシャンタルさんの言葉そのままに、観る者のハートを射るような。

残念ながら本展の開催に間に合わず、今年2月に他界された看板絵師、久保板観。氏の手の温もり感あふれる作品群と、「エルメスも同様に職人の会社です」と称すメゾンの誇りある姿勢に胸が熱くなった。

「眠らない手」展示会場よりセリア・ゴンドル作品/©h.usami

なおル・ステュディオの階下にある8階「フォーラム」では、『眠らない手』エルメスのアーティスト・レジデンシ―展が開催中だ。

「世代を超えて伝承される技を持つ職人と創造性豊かな現代アーティストが出会い、共有と協働を行うプログラム」として、エルメス財団により2010年以来、定期的に開催されているそうで、本展では9名の作家を2期(Vol.1:~11月4日、Vol.2:11月15日~1月13日)に分けての紹介となる。

特別プログラム『チネチッタ』@ル・ステュディオ

『眠らない手』エルメスのアーティスト・レジデンシー展@フォーラム


「アートなシネマは銀座が似合う」がテーマの9月の「CINEMATIC JOURNEY」。ゴールは間もなく、東劇で公開になる『アート・オン・スクリーン』シリーズ第3弾『フィセント・ファン・ゴッホ~新たなる視点』(10月6日~)。

ミケランジェロ、モネに続く今回はゴッホに焦点を当て、その人物像と共にどのように傑作が生み出されたのかを同時に味わえるとのこと。

≫8月22日付け繊研新聞「カルチャー」面に掲載された当シリーズのプロデューサーの記事をご参照のほど!

記者発表会にて解説する作家/©h.usami

さて、そのゴッホが晩年を過ごし、現在眠っているのはフランス、オーヴェル・シュル・オワーズ。

日仏交流160周年にあたる今年、日仏の芸術運動に多大なる影響を与えたとされる絵画の潮流「印象派」を代表する作家たち。

その一人であるゴッホをはじめモネやルノワールの作品全12点が生まれた場所の現在を、写真家の小川康博が写し出し、アートな対話的写真展「パリ地方とノルマンディー 小川康博 印象派を巡る旅 2018夏」の記者発表が先日、フランス大使公邸で開催されたのを機に、フランス観光開発機構のサポートの下、随時巡回予定。まずは下記サイトをご覧下され

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「パリ地方とノルマンディー 小川康博 印象派を巡る旅2018夏」展



うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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