2022シネマな旅〈スイーツ×ホテル編〉(宇佐美浩子)

2022/12/16 06:00 更新


世界規模で思わぬことばかりに直面することの多い近年。「もしやコレはシネマの1シーン?」良かれ悪しかれ、そんな光景に出くわすこともしばしば。

そこでイヤーエンドの時節柄、何かとリストアップ関連情報が多い12月の「CINEMATIC JOURNEY」は、「2022シネマな旅」と題して、筆者独自の2つのテーマで振り返ってみたいと思います。

それでは早速、クリスマスカラーに染まるこのシーズンの主役とも称すべきテーマの一つ。「スイーツ×ホテル」編の旅へと、ご一緒したく!

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では「なぜスイーツ?」なのかと申しますと、実は2つの理由があるからです。まずその一つが、世界200ヵ国におけるレストランを、世界中に存在する1010のリソースからデータ集積し、アルゴリズムにかけて総合ランキングするという、2015年に誕生したグローバルな食を愛する旅のガイドとしても有効的な「LA LISTE」(ラ・リスト)

モバイルアプリで手軽に現地のグルメ情報を入手できるという、このフレンドリーな検索エンジンの創設者兼CEOは、15年ほど前に駐日フランス大使を務め、現永世フランス共和国大使のフィリップ・フォール氏。長年の外交官生活と、「美食外交官」とも称されるガストロノミー関連に貢献されたキャリアから、「地球上の素晴らしいレストラン3万店」へとナビゲートしてくれる。

そして今年9月より新たに加わった注目のカテゴリー(ランキングはなし)が「パティスリー」。フォール氏いわく「いまや食事の締めくくりではない。美食の扉である」

そんなパティスリー界を代表し、同業界の発展にも貢献した世界的パティシエ&ショコラティエ、ピエール・エルメ氏。11月3日付けで発表された2022年秋の叙勲受章者の内、旭日小綬章一人に名を連ねた氏の「ピエール・エルメ・パリ」1号店は、1998年オープンのホテルニューオータニ内だったことをご存じでしたか?

「LA LISTE 2023」日本ベストレストラン 先行発表・授賞式に出席されたエルメ氏(中央)とフォール氏(右)ほか参加者一同

「2022シネマな旅<スイーツ×ホテル編>」と題して、独自の1年を振り返る今月の「CINEMATIC JOURNEY」。「なぜスイーツ?」がテーマなのかという2つの理由の内、もう一つが「シネマ×アフタヌーンティー@ホテル」人気の高さ。その代表格となるのはやはり、アフタヌーンティーの国の女王?だった!


今年6月、在位70周年を共に迎えたイギリスのエリザベス女王と、同じく開業70周年を迎えた椿山荘。双方のプラチナ・ジュビリーを祝したアフタヌーンティーが、東京で初の英国式アフタヌーンティーを提供した背景のあるホテル椿山荘東京で開催され、大盛況と共に幕を閉じた。

このlovelyなコラボレーションの実現にはさらに、6月17日からスタートし今なお全国で絶賛ロードショー中というロングランヒット作にして、女王初の長編ドキュメンタリー映画となる『エリザベス 女王陛下の微笑み』。その公開記念ペアリングとしての相乗効果的魅力は確実だと思っている。

「プラチナ・ジュビリー アフタヌーンティー」@ホテル椿山荘東京

見るからに愛らしいスイーツの中でも、ひと際目を引いたのがピンク色をした、その名も「ロイヤルハット」。

☑ファッション感度も高い女王が愛用する帽子をイメージ。

☑女王が1日の初めに愛飲されていたアールグレイのストレートティーにちなみ、無糖のアールグレーティークリームを使用。

…などと随所に温かな愛が込められた逸品ぞろいの「午後茶時間」のおもてなしだった。今は亡き在りし日のエリザベス女王の笑顔に思いを馳せて…


エリザベス 女王陛下の微笑み

大ヒット公開中
© Elizabeth Productions Limited 2021


そして、いよいよ独断的ではありますが、「2022シネマな旅<スイーツ×ホテル編>」のベストオブベストの作品は現在公開中の『月の満ち欠け』

まずは「1推し」の理由を、実に手前勝手ではありますが…

☑ジョン・レノンの作品の中でもベストオブベストと思っている楽曲「Woman」とストーリーとの絶妙なマッチング。

☑本作の要的存在感でしばしば登場する「リーガロイヤルホテル東京」は、オープン当初から自身の「家族時間」と縁が深いこともあり、それはまた「あなたにも、生まれ変わっても逢いたい人はいますか?」という本作の問いかけに対する、返答にも通じるような感覚を味わった。

そして我家のバースデーケーキの定番としても登場頻度の高いホテル内のパティスリー。その職人技が光る、本作とのタイアップ企画アフタヌーンティー“月の満ち欠け”が大好評につき、なんと12月30日のフィナーレまで全日満席!当ホテル開業以来の大反響ぶりだという。


そんな予備情報を共有しつつ味わう本作は、大泉洋、有村架純、単独での映画初出演となる目黒蓮(Snow Man)、そして柴咲コウほか魅力的な顔ぶれと、1980年当時の高田馬場駅前を巨大オープンセットと最新CGでの再現、また物語の始まりとなる1980年に発表された温もり感たっぷりのジョン・レノンの楽曲に包まれながら過ごす約2時間の「CINEMATIC JOURNEY」だ。

家族をはじめ、人と人の巡り合わせのミラクルに心ときめく「2022シネマな旅<スイーツ×ホテル編>」はこのあたりで!


月の満ち欠け』 

全国公開中
配給:松竹株式会社
©2022「月の満ち欠け」製作委員会


P.S. 

残念ながら満席につき、チャレンジはできなかったものの、劇中の数々のシーンをモチーフにしたスイーツ8種と、舞台となった青森県の名産品によるセイボリー3種によるアフタヌーンティー“月の満ち欠け”@リーガロイヤルホテル東京。

中でも心引かれるネーミングとストーリーの一品が、画像下最上段中央の「瑠璃色の空に三日月を浮かべて」。

こちらはバラとスミレの花びらを使い『完璧な愛』という名前を持つリキュール『パルフェ・タムール』で、ほんのりと香り付けしたグラデーションが美しいグラスデザートとのこと。

アフタヌーンティー“月の満ち欠け”@リーガロイヤルホテル東京

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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