日々の暮らしの中で、ファッションを筆頭に、それぞれのライフスタイルをより一層、心地よく寄り添ってくれるキーワードのひとつに、「デザイン」は外すことができないと思っているのは、決して筆者に限ったことではないはず。
とりわけ「機能性×デザイン性」にも優れた才色兼備なブランドとして、個人的にも長きにわたり馴染みのあるブランド「ブラウン」と、オーラルケアブランド「Oral-B」の共同開発により誕生したという、初の「丸型回転ブラシ」搭載の電動歯ブラシ。その次世代版「オーラルB iO」を愛用する中で出会ったブラウンの信条こそが『優れたデザインは普遍的』と知ったのは、つい最近のこと。
そしてさらなる感動的発見が、ブラウンの公式サイトに記されていたエピソード。
「1961年にスタートしたブラウンの象徴する製品『Wandanlage』の開発から60年後、ヴァージル・アブローが2021年に向けデザインを再考し、自身の経験をもとに『機能的なアート』作品に仕上げた」
その2021年、11月28日。予期せぬ悲劇が訪れたことは、今なお信じがたい。ヴァージルとの突然の別れ…
あれからほぼ1年が経過するある日、遺作ともいうべき作品との出会いが待ち受けていた。青山通りに面したインテリアショップ「カッシーナ・イクスシー」のオレンジ色に染まった大きなウィンドーに記されている「CASSINA・ABLOH」こそが、まさに「それ」だった。
「モジュラー・イマジネーション」というネーミングと、ハードなルックスとは裏腹にソフトな感触に心和む印象のモジュール性ブロックによる「想像の楽しみ」は、建築、ファッション、音楽など。あたかも才能豊かな彼自身を投影しているかのような「普遍的な優れたデザイン」として、後世に受け継がれるだろう。
というわけで、イタリアが誇るインテリアのブランド「カッシーナ」とヴァージル・アブローの話題からスタートした11月後半の「CINEMATIC JOURNEY」は、「ヴァージル再来⁈輝く男のイタリア」をテーマに、イタリアにまつわる「輝く男たち」に注目してみたく!
まずは先日25日、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に 新動画"We believe you"を公開したミラネーゼジュエラー「ポメラート」。登場人物となるのは、同ブランドの CEOサビーナ・ベッリほか、女性に向けられた攻撃に対して声を上げる俳優や活動家、作家、インフルエンサーたち8人だ。
その一人、イタリアの俳優アレッサンドロ・ガスマンが主演の『泣いたり笑ったり』を今週末の公開前に予習を。
本作の彼のプロフィールも「2015年1月1日から、難民のための国連機関『UNHCR』の親善大使も務める。」で締めくくられているように、幅広いフィールドで活躍する人物でもある。
もしかすると昨年、オンラインで開催された「イタリア映画祭2021で鑑賞済み」なんて方もおいでかもしれないが、本作はその視聴者数NO.1を獲得したとのことだ。
ローマとナポリの中間あたりに位置する南イタリアの港町、ガエータの海辺の別荘を舞台に、世代も趣も異なる2つの家族の父親を主人公に繰り広げるロマンティック・コメディ。軸となるのは「同性×再婚」。解放感あふれる地でのバカンスに、サプライズ満載のストーリー展開。いつしか「人生ゲーム」に参加しているかのような臨場感すら味わえる。
ローマ生まれのガスマンが演じる中年の漁師と、グローバルに活躍するミラノ生まれの名優ファブリツィオ・ベンティヴォッリオが演じる初老の美術商。年齢も性別も超越した先にある、人と人の心の結びつき。「結婚」の本質を再確認するチャンスになるかも。
また登場人物の職業を反映した美術商らしいスタイリッシュな空間演出や食のシーン。それをさらにアップグレードする音楽の数々にも耳を傾けたい。
『泣いたり笑ったり』
12月2日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
© 2019 Warner Bros. Entertainment Italia S.r.l. - Picomedia S.r.l. - Groenlandia S.r.l.
「ヴァージル再来⁈輝く男のイタリア」をテーマに巡った今回の「CINEMATIC JOURNEY」。フィナーレ飾るのは、前述のシネマの食卓シーンを彷彿とさせる「東京ベイコート俱楽部 ホテル&リゾート」内の「イタリア料理 RISTORANTE OZIO」で味わう朝食ブッフェ「イタリアンマルシェ」の話題を。
実のところ当ホテルは完全会員制⁉なのですが、唯一エントランスフロア1階のイタリアンのみ、嬉しいことに会員以外のゲストも終日歓迎される。
そのキーマンとなるのが、イタリア料理界での輝かしいキャリアを誇る料理長、辻智一。彼を筆頭に、厨房チームによる美食のクリエーション、イタリア人スタッフを含めたサービスチームの温かなおもてなし、またフォトジェニックなインテリアやテラスなど、つかの間のイタリアンリゾートへの旅気分を東京・有明のベイエリアで楽しめる。
中でも1日の始まりを「ヘルシーかつエネルギーチャージに効果あり!」なメニューが並ぶ朝食は、イタリアとも縁ある地中海の気候と似ている三浦半島から直送の魚介や野菜を用いた、人にも地球にも優しいメニューが滋味深い。
またコーヒー大好き筆者絶賛の「カプチーノ」とスイーツのマッチングは、思わず笑顔が!ランチタイム直前の11時まで、ゆったりと過ごすことができるのも、店名の「OZIO」(イタリア語で「優雅な暮らし」という意味だそう)感に通じる。
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中