6月10日は「時の記念日」。どんな瞬間も、たった一度だけ、そして後戻りできないことを実感するこの頃。だからこそ、時の重みを思い知る。
そんな時の大切さを再認識する記念の日に、東京・銀座の街のシンボルこと、4丁目の時計塔の建物(和光本館)は新たなネーミング「SEIKO HOUSE GINZA」で、さまざまな時を分かち合う空間へとアップデートされた。
そのオープニングイベントとして今月8日よりスタートしている、セイコーが次の時代につないでいきたい「匠の技」にまつわる12の音を採集、音楽家の江崎文武(えざきあやたけ)作曲によるスペシャルバージョンの鐘の音「Seiko Harmony」だ。個人的思い出も伴う「おもてなしの心を包む音」や、絶妙な音の重なりの「日本らしさを表現した涼やかな音」など、ユニークな発想によるオンリーワンの音のインスタレーション「Seiko Harmony -匠の技が奏でる12の音-」(入場無料)が当館6階のホールで開催中。なお期間はいずれも6月19日まで。
暦の上の記念日からスタートした6月最初の「CINEMATIC JOURNEY」のテーマはズバリ、「時と眠りとシネマの相関性⁉」そこで注目したのは、「12の音」から、さらにスケールアップして「111の映画」が登場する映画の話題。その名も『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』。
驚いたことに、「365日、毎日映画鑑賞する男」という異名を持つのが本作監督、マーク・カズンズ。2010年から21年の11年間にスポットを当て、厳選した作品の数々は、見たことも聞いたこともないような多国籍の作品タイトルから、メジャー路線まで幅広く、またそれらを意外なキーワードでマッチングさせ、紹介していく。
その発想というかスタイルは、少しばかり当ジャーニーと近い感覚が…(笑)
ところでマーク監督は、単なる映画オタクではない。映画愛にあふれる人物であることが過去の偉業「ストーリー・オブ・フィルム」からもうかがい知れる。
それは19世紀末から2000年代に至る約120年間の作品の印象的なシーンを引用し、かつまた著名な監督や俳優へのインタビューなども織り交ぜ、全15章、900分以上のドキュメンタリーのTVシリーズを約6年かけて完成させ、2011年に本国イギリスで製作された際、大好評を博し、世界各国でも注目を集めているとか。
そんな彼の新作において、筆者が最も印象に残っている台詞がある。
「映画を見るのは、眠りにつくのと同じ。
大いなる眠り(=Big SLEEP)!」
『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』
6月10日より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
© Story of Film Ltd 2020
というわけで、「時と眠りとシネマの相関性⁉」をテーマに巡る6月最初の「CINEMATIC JOURNEY」のゴールは「大いなる眠りの森の美女?」的話題。
6月のイメージの一つとして挙げられるウェディング。実はウェディングドレスの製作からスタートし、現在はホリスティックプログラムやムーンメディテーションプログラムなど、美と癒し、そして自然治癒力の向上に着目したスパ『Lapidem tokyo』を展開する代表の近藤由希子さん。
「肌や体型の悩みから、本当に着たいドレスを諦めてしまう花嫁を見て、彼女たちの悩みを解決するためにスパを立ち上げたのです」
と語る。
そんな近藤さんのアイデアを核に、昨今多くの人が抱えている「睡眠」に関する悩みの解決に着目し、プログラミングされた「Deep Sleep Ritual(深い睡眠の為の儀式)」があると聞き、その魅惑的内容に関してご教示願うことにした。
まず深い眠りに必要とされるのは呼吸、副交感神経、大脳の温度なのだという。そこで、深い眠りへと誘う旅は、キャンドルを灯し、フレッシュハーブを使用した足浴の儀式と首元のハーブボールから始まる。
そして東洋医学の頭寒足熱の思想をベースに、心身の緊張を解きほぐし、精神、肉体、感情を自然のレベルへと回復させ、昨今人気のサウナでも注目を集める国、フィンランドの神秘的な石「カレリアン・ソープストーン」を使用したストーンセラピーや、ラベンダーのハーブ水を「第3の目」に注ぐシロダーラなどで、自律神経のバランスを整え、不安やストレスから解放していくというプロセスなのだそう。
こうして冒頭に登場した時計の鐘の音にも似た、ベルの音が耳に届くころには誰もがグッスリしているとか!
ならば私も「大いなる眠り」ことシネマの旅の後は、早速チャレンジしてみたく…
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中