デザイナーの中南響が手掛ける「ヒビキナカミナミ」は、「張り詰めた空気を纏(まと)う」をコンセプトにしたモードスタイルのユニセックスのワードローブを作る。21年秋冬にデビュー、テーラードアイテムのクオリティーや強めのディテールが目を引き、ファッション好きに支持された。卸売りはほとんどしていないが、受注会やECを通じてビジネスを成長させている。
中南は、日本の高校を卒業して渡英、ロンドンのセントラル・セントマーチン美術大学のBA(学士課程)ウィメンズウェアで学んだ。在学中に「ルイ・ヴィトン」「ハイダー・アッカーマン」でインターンを経験し、20年に卒業して帰国、東京でブランドを立ち上げた。
シグネチャーとなるモデルをじっくりと作り上げ、シーズンを超えてアップデートしながら継承する制作スタイル。テーラードジャケットは、ラペルのカットにこだわってゴージを下げたり、ウエストに軽いシェイプを利かせたり。10代前半から夢中になったモードブランドの要素が詰まったクラシックな美しさと、今の自分が着たい現代的な要素が入り混じったバランスが新鮮だ。
23年秋冬は、フォーマルとリゾートの境界線の表現を掘り下げるクリエイションに取り組み、ウエストをカットアウトした構築的な輪郭のドレス、製品染めしたショート丈のバルマカンコートなど程よく抜け感を交えたアイテムを新たに作った。