エンダースキーマ運営の「隙間」でジュリアン・コロンビエの作品展

2023/05/31 06:27 更新


黒のキャンバスにアクリルとオイルパステルで描いた。展示の際はアトリエでの制作時と同様に四つ角をピンで留める

 ライコスの「エンダースキーマ」が運営するオルタナティブスペース「隙間」は、パリを拠点にするアーティスト、ジュリアン・コロンビエの作品展を開いた。日本では16年以来の個展。エンダースキーマのデザイナーの柏崎亮と、その友人で「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の井上兄弟とのプロジェクトで新作の発表が実現した。

 ジュリアン・コロンビエは、ブラックキャンバスにパステルやチョークなどで色鮮やかな植物画やグラフィカルモチーフを描く。緻密(ちみつ)でエネルギーにあふれた作風が評価され、欧州メゾンとの協業も多々ある。井上兄弟は7年ほど前、「アート雑誌で見た絵に魅了され、編集者に紹介してもらって連絡を取り、ジュリアンのアトリエを訪ねた。通常、絵の中で影を描くのは最後だが、黒のキャンバスを生かし、影を残すように色を付けていく逆の手法を取る。濃淡を加減して立体感を生み出すセンスも素晴らしかった」と兄の井上聡は話す。ジュリアンとは兄弟のような付き合いが続き、「アーティスト活動で多忙化しているが、隙間のプロジェクトを伝えると、ぜひやりたいと新作に取り組んでくれた」。

ジュリアン・コロンビエと花をレザーの色で表現した作品

 ジュリアンは「幼いときに母親が着物を着ていて、その柄がとても美しかった。日本の漫画やアニメも好きだし、子供のときから日本の文化に影響を受けていた」と話す。今回のテーマは「ホープパンク」。「未来に向かってポジティブに、より良い方向に進んでいく」イメージを描いた。植物の背景にはクラフト的なモチーフが描かれる。「レザーの色を塗って花を表現した」作品は、物々交換をコンセプトに展示スペースを提供する隙間に譲ることになった。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事