90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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〝渋谷セクシー系〟広がる 「安心だから」ヤングの新定番に
1999年7月23日付
全国ネットのテレビ番組にもひっぱりだこの〝渋谷セクシー系ファッション〟。渋谷109の人気ショップが東京近郊や地方都市にも進出し、OLやヤングミセスなどにも広がっている。
セクシー系と混じり合うことのなかった東京・原宿の明治通り周辺も、このところ109ファッションに押されぎみ。日焼け肌にキラキラメイク、パレオに超厚底サンダルの〝スーパーギャル〟が、ラフォーレ原宿の前を連れ立って行き来している。
「ココルル」や「カパルア」「エゴイスト」のショッピングバッグをさげた高校生のグループがこのあたりまで回遊してきて、着ている服も混じり合い。普通っぽくシンプルにまとめていても、なかに一つは109ショップのものが組み合わされている。古着ミックスのモード系スタイルの子も、聞けばオレンジのタンクトップは109。
カパルアの花柄トップをジーンズに合わせた大学生の2人は、高校生の時は全身109ものだった。今でも買いに行くのは「流行がそこそこ入ってて安いから」。結局、手放せない存在というわけ。黒のトップにエゴイストの水玉スカートを合わせたOLは、「ウーン、なんだか安心なんです」
「安心」なんだからセクシー系とはもう呼べそうもない。セクシー系は109を飛び出し、今やヤングの新定番になったようだ。
《記者メモ》
渋谷と原宿でファッションの混じり合いが進み、このころから原宿のショップの出退店にも変化が起きました。
(赤間りか)