今年1月にオランダ・アムステルダムに現地法人を設立したアルファは今夏、「グラフペーパー」で欧州ビジネスに本腰を入れた。パリのメンズファッションウィーク中に、現地のクリエイティブスタジオ「イル・スタジオ」の協力を得てインスタレーション形式の期間限定店を開いた。ディレクターの南貴之さんに海外進出の経緯を聞いた。
(須田渉美)
欧州で今後、ビジネスを広げていくなかで、ランウェーショーではない手段で価値を上げるにはどうしたらいいかを検討し、4日間の期間限定店に至りました。日本のビジネスも小売りからスタートしましたし、店を通じて一般消費者との「直接的な対話」を大事にしたいと考えています。青山店の空間設計の思想にも通じることですが、プロダクトを見せることに限らず、会場全体をインスタレーションのように構成して、来場者と僕たちの考え方を共有できる場を作りました。
初日のレセプションは、メディア関連、現地のクリエイティブ関連など500人近くが来場し、盛況でした。会期中は、初めてなので一般の方はあまり来ないだろうと思っていましたが、予想に反して人が集まり、売り上げも取れたんです。来日して京都店で買い物したフランス人シェフなど、ブランドを知っていて来店した方も多かった。定番を中心に販売しましたが、クオリティーの良さ、装飾的ではないシンプルなスタイルに日本的な魅力を感じてもらえているようです。
同時期に行ったバイヤー向けの商談は、スイスや米国など新規で6件が決まりました。卸売りは、ブランドに合っていて、取り扱って欲しいと思うショップに直接、メールを送っています。ただ、アプローチしたい店の数は少ないですし、製品を置く空間も大事にしたいので、海外市場も自分たちでショップをやる方が話が早いかなと感じています。来年1月にも期間限定店を開く予定です。