消費者庁、経済産業省、環境省はサステイナブル(持続可能な)ファッションの推進に向けた関係省庁連携会議を発足し、8月20日に第1回会議を開いた。各省庁の連携を強化し、「事業者、消費者双方への取り組みを計画的に進め、制度面を含めた課題を整理・検討する」。項目によっては、各省庁で来年度予算の概算要求に盛り込む。
会議は消費者庁消費者教育推進課長、経産省製造産業局生活製品課長、環境省の「ファッションと環境」タスクフォースリーダーで構成する。「生産・流通」「購入・使用」「廃棄・循環」の3段階で、各省庁が掲げる重点的な取り組みを連携して行う。
主な取り組みは消費者庁の「ファッション業界における消費者志向自主宣言の促進」、経産省が日本繊維産業連盟と今後進める「環境配慮設計ガイドライン」の策定、環境省を軸に3省庁が連携して進める方針の環境負荷把握・算出や8月3日にファッションビジネス関連企業が設立した「ジャパンサステナブルファッションアライアンス」との協働、回収・リサイクルシステムの構築など。「イベントなどを通じた普及啓発・消費者の意識改革」にも取り組む。
繊維・ファッション業界にも環境配慮をはじめとしたサステイナビリティー(持続可能性)への取り組みの重要性が高まる中、環境省は昨年にファッションと環境タスクフォース、経産省は今年2月に有識者会議「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」を立ち上げた。消費者庁もエシカル消費の促進策の一環として、同様の取り組みを検討していたが、「既に経産省、環境省で論点が整理されており、連携した方が効果が発揮できる」(吉村紀一郎消費者教育推進課長)とし、同庁からの呼びかけで連絡会議を作ることになった。
第1回会議には消費者庁担当の井上信治内閣府特命担当大臣、小泉進次郎環境大臣、佐藤啓経済産業大臣政務官も出席した。井上氏は「課題解決のためには、産業界だけでなく、消費者の意識や行動も変えていかなければならない。サステナブルファッションを国民運動にしていくための新しい仕掛けを来月にも実施したい。年度内にはサステナブルファッションの計画策定を目指す」などと語った。小泉氏は「サステナブルファッション推進の上で、大量生産・廃棄の削減、生産背景・流通の見える化、行動変容の3本柱が大切だ」と強調。来年度予算概算要求に二酸化炭素削減に取り組む企業などへのポイント付与制度を盛り込み、「ファッションも対象になりうる」とした。佐藤氏は「サステイナビリティー実現には業界が一丸で取り組まなければならない。特に注力すべきは環境配慮設計ガイドラインの策定だ」と強調した。