海外事業の強化やダイバーシティー(多様性)の推進に力を入れる合繊企業にとって、グローバル人材の育成は全社をあげた重点課題のひとつだ。留学生採用や外国語学習の費用補助のほか、国内業務に精通した社内人材の活用を目指し、各社独自の育成方針や研修制度を定める。制度スタートから数年が経った今、現場の声を反映し研修内容を見直す時期が近づいてきたようだ。
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採用市場でのグローバル人材の獲得競争が激化するなか、東洋紡、三菱レイヨンなどは新卒採用に外国人留学生枠を設けた。クラレは10年の留学生採用枠設置以来、中国と韓国からの留学生を中心に採用を続ける。〝内向き志向〟と言われる日本の新卒者も、「海外勤務にチャレンジしたいという若手は多い」(クラレ)と、グローバルな志を評価する。
社内人材の育成で各社共通するのは、海外拠点の外国人社員と日本人社員の合同研修だ。日本本社に外国人社員を招く企業が多いなか、クラレは海外拠点に国内外から30~40代の同年代社員を集め、約2週間の「グローバルチームトレーニング」を実施。「会社をより良くするには」などの共通テーマで英語ディスカッションするなどして、人材面でもグループ内連携を推進したい考えだ。
「現地の人との交流など、業務以外でも異文化に身を置くことが重要」と、実際に海外で業務に就くのは東洋紡だ。海外拠点に約半年間派遣する「短期海外業務研修」を11年にスタート。国内では「一人前」に成長した20代後半~30代半ばの総合職を対象に、欧米やアジア、アフリカの各拠点に現在研修中も含め、これまで36人を派遣した。
ユニチカは12年「海外トレーニー」制度を開始。海外法人に約1年間派遣し海外出向の待遇で業務に就くほか、週2~3回の現地語の語学教室で語学研修にも重点を置く。13年はユニチカ上海とエンブレムチャイナに30代の若手社員2人を派遣した。
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