GMTは96年に百貨店への卸売りも始めた。自らの企画を生かした成功事例は、06年ごろに伊勢丹新宿本店、阪急うめだ本店、西武百貨店など都心店の婦人靴売り場で仕掛けた〝バレエシューズギャラリー〟だ。仏「レペット」が注目され、バレエシューズへの関心が高まるなか、レペットを筆頭に「ファビオ・ルスコーニ」といったインポートブランドの編集コーナーを作った。時宜を得たコンセプト的な見せ方は女性客の目を引き、大盛況となった。「一つのヒット商品を生かし、MDによってムーブメントを作っていく」。その手法は紳士靴も婦人靴も変わらない。
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時代性を捉えて
「歴史がある」「いい物作りをしている」だけではブランドへの共感はなかなか広がらない。「その時代に合ったものへと再解釈すること。セレクト店のバイヤーのアイデアはブランドを育てる」大事な要素だ。
「パラブーツ」のビジネスがそれを物語る。長く日本で卸売りを担っていた仏のエージェントが98年ごろに倒産。本国から代金未払いの在庫を回収してほしいと頼まれ、1年近くかけて約4000足を集めた。さらに、直営店を作って販売できないかと相談され、別ブランドで検討していた南青山・骨董通りの現立地に出店する運びとなった。01年、パラブーツを生産する仏リシャール・ポンヴェールとの合資でアール・ピー・ジェーを設立してパラブーツ青山店を開設、横瀬秀明が代表に就いた。
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