富士通フロンテックは、18年3月期のRFID(ICタグ)事業の売上高が24億円を超えた。過去2年間で2.4倍に急拡大させた。しかし、今年度は25億6000万円の控えめな計画。大手アパレル小売業の本格導入や「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」で弾みがついているが、「価格競争も激しく堅くみている」からだ。タグは低価格ばかりでなくバリエーションを広げ、ソリューション提供を強めていく。
前期のICタグ事業は国内外で伸びた。売り上げでは、国内がアパレル向けを中心に3分の2、残りの海外は米国でのリネン向けが多い。
以前は、大手企業から「声がかかっても実証で終わりというケースが多く」すぐには投資効果が見込めないソリューションは控え、ハード重点だったと松森邦彦取締役経営執行役専務CTOフロントソリューション事業部長は言う。16年は「大手アパレル小売業が本格導入に向けて動き出して潮目が変わった」。
しかし同時に価格競争も激しくなった。タグ単価は「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」が求める水準(1円以下)に「近付きつつあるが、タグだけのビジネスでは当社の強みは生かせない」(五十嵐一浩社長)。周辺機器も含めたソリューション提案を強める方針だ。
昨年11月には、衣類レンタル・ランドリー業界に特化したICタグソリューションを提供する米国のパートナー企業と新会社を設立。北米でソリューション事業を他の分野にも広げていく。