【パリ=松井孝予通信員】外出制限の規制緩和が始まったフランスで、ようやく春夏物の販売がスタートした。8週間に及んだ都市封鎖で、独立系ファッション小売業の在庫は推定で25億ユーロ 。多くの店舗で緩和をうたい、2週間の40~70%引きキャンペーンが実施されたが、おおむね必需品や子供衣料の消費にとどまった。
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仏婦人プレタポルテ連盟によると、規制緩和第1週目のレディスの売上高は前年同期比35%減の厳しさだった。大手世論調査会社オピニオンウェイが都市封鎖下で行ったアンケートでは、フランス人45%が衣料品の予算を削ると答えた。背景には、一時帰休や失業による収入減だけでなく、過剰な衣料品消費への反省が挙げられた。ある大手SPA(製造小売業)のマーケティング責任者はコロナ前の二つの社会運動、「黄色いベスト」のデモと長期交通ストで外出を阻まれた国民は、既に脱消費に向かっていたと指摘する。
在庫の課題について、人気レディス10ブランドを所有するエクスペリアンスキャピタルは仏メディアに対し、「春物の5~10%を秋の初めに投入し、正価で販売する」との戦略を示した。既に秋冬物15~20%の減産調整を決めた。
一方、外出緩和基準は小売業に混乱を招いた。パリの大型百貨店、ギャラリー・ラファイエット(GL)とプランタンに、感染拡大の懸念から7月10日までの休業継続令が下された。GLは再開に向け準備したキャンペーンを急きょ、ECでの開催に切り替えた。百貨店と都市型スーパーで構成する団体は、一時帰休7500人と経済への影響を考慮し、衛生基準厳守を条件に、マクロン大統領へ2百貨店再開を懇願した。