フランスの対米輸出 トランプ関税とユーロ高で減速

2025/09/29 06:28 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】トランプ米大統領が4月に発動した追加関税は、上半期のフランスの対米輸出に影響を及ぼした。フランス税関が公表した分析によれば、上半期は衣料品が8%減、宝飾品が22%減、香水・化粧品が12%減だった。一方でレザーグッズ&靴は3%増と小幅ながらプラスを確保した。

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 1~5月の対米輸出全体では、フランスは前年同期比5%減。落ち込みはドイツの11%減より小さいが、イタリアの3%増とは対照的だ。

 税関はまた、関税に加え為替の逆風が重なったと指摘する。2月から6月にかけてドルは対ユーロで10%以上下落し、輸出価格競争力を削いだ。平均9.6%とされる追加関税を上回る影響で、欧州企業にとって「関税+ユーロ高」の二重苦となった。

 多くの企業は関税発動を見越し、昨年末から今年にかけて輸出を前倒しした。ワインやシャンパンは年末に急増し、3月にも再び伸びた。高級バッグの輸出も3月に50%増と膨らんだ結果、第1四半期は前年同期比6%増。在庫積み増しの反動がその後の減速につながった。

 米国市場は依然として仏ラグジュアリーにとって最大の市場である一方、関税と為替が収益構造を揺るがしている。



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