ルームウェアで「オトナ女子の疲れ癒やしたい」 ネクストブランダーズの桑原社長

2019/04/17 06:26 更新


桑原真明社長

 ネクストブランダーズ(東京、桑原真明社長)は、上質なルームウェアを主軸としたライフスタイルブランド「フー・トーキョー」を企画・販売する新興企業。東京大学大学院から外資系証券会社を経て、独立した桑原さんが17年12月に設立した。激務だった金融界で感じた社会人、とりわけオトナ女子の疲れを癒やしたい、という思いから開発した。期間限定店などオフラインで認知を広げながら自社ECに導き、売り上げ増につなげたい考えだ。

(永松浩介)

働いている人を応援

 桑原さんは同志社大学に通っていた頃から国際協力に関心をもち、趣味であるダンスを通じてラオスに学校をつくるための募金活動を行っていた。タイの名門、タマサート大学にも留学。「お金を必要な所にどう流すか」をテーマに、学卒後に進んだ東大大学院でも国際協力について学びを深めた。院卒後には、メリルリンチ日本証券に入り、企業のM&A(企業の合併・買収)やIPO(新規株式上場)支援を行なっていた。

 別の業務として現在、日本の有力コレクションブランドのCFO(財務担当役員)を務めている。クリエーション分野にお金が回らないつらい実情が背景にある。

 大学時代に古着店のスピンズでバイトをするなどファッションが身近だったことから、起業する時には洋服の道を選んだ。心身ともにハードな金融業界に身を置いた経験から、「頑張って働いている人を応援したい」と考え、家に帰った時にリラックスできるルームウェアの企画に行き着いた。ブランド名は、ひと息つく時の「ふーっ」に由来する。

 「睡眠不足が積み重なると心身に悪影響を与え、仕事のパフォーマンスにも響きかねない。そんな〝睡眠負債〟をなくせれば」と桑原さんは話す。

 ルームウェアには人気ブランドはあるものの、その市場性の割にはプレーヤーが少ない。フリーサイズにすることでSKU(在庫最小管理単位)を最小にできるし、年間通しても販売ができる。「意外にネット(販売)のDtoC(ダイレクト・ツー・コンシューマー)がハマるのでは」とその可能性を感じていた。

 対象は25歳から35歳の働く女性で、ルームウェアをはじめ、タオルやコスメ、ルームキャンドルなどの雑貨も揃える。男性が着用できるものもある。

 「オンの戦闘服から、オフのルームウェアに着替えた時に疲れを癒やして欲しい」と考え、素材は上質なものを選んだ。生地調達は、エイガールズ(和歌山市)や渡辺パイル織物(愛媛県今治市)、福田織物(静岡市)などラグジュアリーブランドへも供給している企業のもので、洋服はファッション白石(東京)で縫製している。

シルクのパジャマ(トップ、男)税込2万7920円

オフラインからオンラインへ

 インスタグラムを通じて情報発信をしているが、「ようやく知っている人が増えてきた程度」。まだまだ知名度不足のため、最近は期間限定店などオフラインの施策にも力を入れている。

 10日からはレリアンが運営する「ネミカ」の広尾と二子玉川の店舗内で期間限定で販売を始めた。これまで阪急百貨店うめだ本店でも限定店の実績がある。京都のミシュラン五つ星の料理旅館である貴船右源太は同社のタオルを採用しており、インバウンド(訪日外国人)客が多数訪れる西陣織会館や井筒屋小倉本店では常設で商品を置いている。

 「百貨店などオフラインで見てもらう場を増やしつつ、相乗効果で自社ECが育てば」と桑原さん。自社サイトは、越境EC支援のジグザグの仕組みを使い、世界125カ国で販売が可能。現在は男女半々なことからギフト需要が多いとみている。

 ルームウェア以外の商材が揃ってきたことで、クロスセルも可能になり、サブスクリプション(定期購入)のようなサービスも視野に入れている。ユーザーの時間・空間での接触時間を増やし、無意識下でブランドの安心感を育成できれば、と桑原さんは話している。

桑原真明社長(右)と森一紘事業部長
働く女性の“睡眠負債”を解消


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