U.S.コットン・トラスト・プロトコル ダレン・アブニーさん 綿花を起点に持続可能性を推進【ファッションとサステイナビリティー】

2025/07/28 05:29 更新


U.S.コットン・トラスト・プロトコル エグゼクティブ・ディレクター ダレン・アブニーさん

 U.S.コットン・トラスト・プロトコル(USCTP)は、米綿生産のサステイナビリティー性を実証するために、20年から運用が始まったプログラム。「土地利用効率」「土壌侵食」「水使用」「エネルギー使用」「温室効果ガス排出」「土壌炭素」の六つの指標においてデータ収集を行い、外部機関の検証を実施している。科学的根拠に基づく環境負荷削減データは、毎年、参加ブランドや小売り企業に提供され、各社のサステイナビリティーリポートなどで利用されている。

 USCTPは、自発的に集まった農家の団体であり現在、米国17州から約1500の事業者が集まっています。登録栽培面積は250万エーカー(1エーカー=4047平方メートル)で、収穫量は300万俵(1俵=170キログラム)です。米国で生産されたコットンの約3割はUSCTPのメンバーのものとなっています。また、私たちは英米や欧州を中心に国際的な45の有力ブランドや小売業者とも協力して運営しています。

 USCTPに加盟することは、ブランドの観点からは、環境配慮問題への対応やトレーサビリティー(履歴管理)においてメリットがあります。サプライチェーンにおける綿を受給する製造業者や商社など約2800社の企業への履歴を確保しています。テキスタイルジェネシス社のサステイナブル繊維追跡プラットフォームを活用し、偽造が極めて困難なブロックチェーンを利用することにより、米綿がサプライチェーンの各段階で確実に使用されていることを検証できます。

 また、利害関係を伴わない第三者機関によって、原綿畑や審査書類をチェックする仕組みになっています。これらの取り組みによって、USCTPメンバーのブランドや小売業は、自社製品のサプライチェーン・マップ(各サプライチェーンの工場名と住所の表示)を受け取ることができます。私たちの扱う綿を購買することで、環境問題を改善することに貢献できるのです。昨年は糸や生地、アパレルなど1億1000万品番の製品の履歴を追うことが出来ました。今年は、現時点で既に3億3000万品番でトレーサビリティーを発揮できています。

 農家にとってのメリットは、USCTPのシステムを通じて他の農家の手法やノウハウを学ぶことができることです。また、自らの農地への環境問題に対するインパクトを知ることができます。

 今年10月に開催するUSCTPの理事会では、リジェネラティブ農法の推進を中長期的に強化する方針を打ち出す予定です。

 未来を見据える中で、綿花を起点としたサプライチェーンにおける持続可能性への取り組みの高まりは、私たちにとって大きな活力となっています。USCTPは、この進歩に貢献できることを誇りに思い、農場から完成品に至るまで、米綿のより強靭(きょうじん)で責任ある未来を築くために、革新と適応に尽力します。

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(繊研新聞本紙25年7月28日付)

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