オーストリアのセルロース繊維メーカー、レンチンググループは、差別化セルロース繊維「テンセル」でゼロカーボンの「テンセル・リヨセル」と「テンセル・モダール」を開発、販売する。日本国内でも菅首相の「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という脱炭素宣言以来、これらゼロカーボン素材に対する関心が急速に高まっている。
同社は50年までの実質ゼロカーボンを目指しており、それに向けて1億ユーロ以上を投資するなど、積極的に取り組みを推進している。ゼロカーボンのテンセルやモダールは、より効率的な生産工程を導入することで、生産時点ですでに一般的なものに比べ80%ほど削減。残りは発展途上国の二酸化炭素排出削減事業への投資などでオフセット(相殺)するほか、業界全体への働きかけや工場出荷後の物流などでの取り組みなどエンゲージ(関与)し、全体としてゼロカーボンを達成する。
同社はそのほかにもトレーサブルレーヨン「エコヴェロ」などサステイナブル素材を積極的に打ち出している。「リフィブラ」テクノロジーを用いたリヨセル繊維「テンセル・リフィブラ」への関心も高い。パルプと廃棄される綿古着を原料にリヨセル繊維を作るもので、サーキュラーエコノミーを実現。最近ではノンフィブリルタイプも開発し、サンプルなどの問い合わせが増えつつある。
(繊研新聞本紙20年11月25日付)