シーズンの垣根を超えて着回すことができるレディスウェア「ポィ」。23年にデビュー、国内の卸先は10件以上になりました。自社ECと百貨店などで催事販売もしています。着実に歩みを進め、今年9月は合同展「トラノイ・トーキョー」に3回目の出展をします。デザイナーの神本麻希子さんに成長要因を聞きました。
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顧客視点の服作り
「お客様がずっと着られるものを作りたい」と神本さん。デビュー時から、着回しのしやすさ、レイヤードのしやすさを意識して制作してきました。どのアイテムも、メインとしてもサブとしても使えます。代表アイテムの一つがシアー素材のトップス。チュールにオリジナルの柄をフロッキー加工で施し、毎シーズンモチーフを変えて新型を出しています。定番のジャケットも色や素材を変えて継続し、リピート購入が多いそう。トレンド要素を取り入れながら、レイヤードのスタイリングを様々に楽しめるポィらしさを感じられる一本の軸があります。

神本さんは独立する前の営業職の経験から「バイヤーはブランドの世界とショップの世界のリンクする部分、デザイン、価格設定はもちろんですが、どうしたらお客様に服を喜んで購入してもらえるのかを考えて、仕入れる商品を選んでいると感動した」そうです。最終的に手に渡るお客のことを考えてバイイングするバイヤーに対して、自身も服を作る段階から、顧客がどうしたら喜んで着てもらえるかまでを想像しながら取り組んでいます。
継続性を見せる
国内市場でのビジネスを大切にしながら、次の目標は海外展開です。取引先から、台北や上海、韓国のお客の購入もあると聞いたこと、渋谷パルコや伊勢丹新宿本店での催事でインバウンドの反応が良かったことから、海外市場を意識するようになりました。そこで、海外バイヤーとの出会いを目的に、昨年9月に第1回目が開催されたトラノイ・トーキョーに出展しました。結果、海外企業に声をかけられ、具体的な商談もあったそうです。しかし、価格の設定、送料や関税などの経費も含めたプライス表示が出来ていなかったことなど、課題が見つかりました。


また、英語でのコミュニケーションが十分にできなかったことが一番もったいなかったと振り返ります。「資料を渡して、気になったらメールをくださいというだけでは意味がなかった」と感じ、英語が堪能なセールスを新たに迎えて、海外営業を強化しています。
「ブランドの規模をもっと大きくしたい。同時に、一人ひとりのお客様のことをずっと考えていきたい」と神本さん。すでにファンが存在しているアジア圏での取引を実現しすること、現地でのポップアップ開催を目標に据えます。焦らずに、堅実に歩む姿勢がブランドの持続的な成長を支えていると感じます。

■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)
デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、主に新規事業開発の現場と経営で経験を積み、14年に独立、ベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドのウェブサイトやEC、SNSのコンサルティング、新規事業やイベントの企画立案を行っている。