ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、9日の上期決算の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大が経済や自社の商売に及ぼす影響に関して「戦後最大の人類の危機」との認識を示した。そのうえで「経営者として冷静かつ理性的に事態を認識し、対応していきたい」との姿勢を示し、「今回のような経営環境の激変に即座に対応するための必要な資金は以前から少しずつ準備しており、当面(の経営に)問題はない」と語った。
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上期(19年9月~20年2月)の連結業績は1ケタ減収で営業利益、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2ケタの減益だった。主力のユニクロは国内が暖冬の影響で減収ながら、粗利益率の改善で営業増益を果たしたが、海外ユニクロは主力の中国を含むグレーターチャイナや韓国が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅な減収減益だった。現在、欧米、日本でも休業を余儀なくされている店舗が多く、通期業績も減収減益を見込む。
柳井会長は「販売、生産、企画やデザインなどの面でグローバルに機能を分散している。テレワークなど様々な働き方も積極的に導入しており、現時点で経営に致命的な影響は受けていない」と強調。「国や地域ごとに感染拡大の程度、対策に違いがあり、業績への影響にも差があるが、グローバルに事業を展開していることで、全体として業績への極端な影響を回避しやすい体制になっている」と語った。